『すみれびより』キャストインタビュー
後列左から 田上役 白井悠介さん、大町直子・西澤母役 山口享佑子さん
前列左から 西澤浩一郎役 興津和幸さん、大町芙蓉役 松岡禎丞さん
――収録のご感想
興津さん:松岡さんがすごく喋ってました。
松岡さん:なんかもう、(12月)24日ってことを忘れそうですね。
興津さん:働いたよね。
松岡さん:働きましたね。
興津さん:僕達いい芝居をしたと思います(笑)。すごい自画自賛(笑)。
松岡さん:頑張りました。
興津さん:松岡さん演じる大町芙蓉くんが、超可愛かったです。
松岡さん:本当ですか?
興津さん:モノローグを横で聴いていると、西澤くんも芙蓉くんのことがすごく好きだから、
好きすぎてなんかもう好きがダダ漏れしちゃって(笑)
松岡さん:(笑)
興津さん:ちょっとクールな男だったはずなのにテンション上がっちゃって、「ああ、やばい」って軌道修正しました。
それくらい芙蓉くんが可愛かったです。
松岡さん:ありがとうございます。
松岡さん:興津さん演じる西澤くんも、興津さんから出る声色もそうなんですけど、本当に包み込むようなボイスをされているので。
興津さん:(照れています)
松岡さん:演じていて「やばい、西澤くんが女だったら僕はもう……」みたいな感じでした。
興津さん:僕はその気はないぞ。
松岡さん:(笑)。そんな感じで、スタートから一気に入り込めたので、本当に楽しかったです。
――演じたキャラクターのご感想
松岡さん:芙蓉くんはナイーブで、過去の出来事があったから性格もああいう感じになっちゃって。
興津さん:苦労したんだよね。
松岡さん:そうなんですよ。そういう人だからこそ人の痛みがよくわかる優しい子です。「もうちょっと前向きになろうか」と
言いたくなる感じがあったり、自虐的になっても「あっそう」とは思わないんですよね。
興津さん:うん。
松岡さん:芙蓉くんが自虐的になっても、誰もが応援したくなるような、「そんなことないよ」って言いたくなるような。
興津さん:そうだね。田上さんも応援してたもんね。ちょっとうざかったけど(笑)
松岡さん:(笑)。本当に優しくてちょっとシャイで、ナイーブな心を持った男の子です。
興津さん:西澤くんはクールで、芙蓉くんには見た目も心も完璧な男だと言われていたんですけど、案外そんなこともなくて。
松岡さん:そうですね。
興津さん:優等生には優等生なりの悩みがあって、その部分を表に出さないように頑張ってきたわけですが、しかし!
東京の大学に行ったり、小学生の頃からずっと想い続けてきた芙蓉くんに会う為に努力してきたんだと思うんですよね。
だから努力家なのは間違いないです。恋の為に一生懸命努力してきた、とても素晴らしい、美しい男だと思いました。
松岡さん:はい。
興津さん:でもけっこう変態ですよ(笑)
松岡さん:あらららら(笑)
興津さん:爽やかなお話だったので、我々も楽しく演じさせていただきました。高校を卒業して下宿に来たばかりというところで、
大人っぽい雰囲気はあるんですけれど、やっぱり18歳というところは意識して、まだ心が未成熟な部分も考えながら演じました。
――雑草についてのエピソード
松岡さん:雑草の想い出はけっこうあります。
興津さん:食べた?
松岡さん:いえ(笑)。北海道だったんで、色んな草花が茂るわけですよ。
興津さん:春?
松岡さん:ええ。春は特に。夏もそうですけど。
興津さん:春夏はすごいんですか。
松岡さん:もっさもっさしてます。
興津さん:意外。もさもさなイメージはあんまりない。
松岡さん:なので子供の頃はその辺に生えている草を、ずっと野菜だと思っていました。
興津さん:やっぱり食べた(笑)
松岡さん:いやいやいや(笑)。なんとなく食べられるような気はしました。
興津さん:きれいだから?
松岡さん:調理すれば食べられるんじゃないかと思ったりもするんですが、知識を得ていうと、食べられる草花はあれど、
これは雑草というものなんだなと。
興津さん:牛が食べていたりはしないの? 牧草というわけではない?
松岡さん:牧草ではないです。
興津さん:雑草なの?
松岡さん:ええ。ツクシが美味しそうに見えて仕方なかったですね。
興津さん:(笑)。食べられるよ。砂糖と醤油で煮て食べた。
松岡さん:カリフラワーがめっちゃ生えてましたよ。
興津さん:僕、苦手なんですよ。
松岡さん:カリフラワーは雑草じゃない?
興津さん:野菜かな(笑)。カリフラワーが多いんだ。
松岡さん:カリフラワーがそこかしこに生えてましたね。フキもめっちゃ生えてました。
興津さん:フキも食べたな。
松岡さん:後は花でもいいですか?
興津さん:雑草だって言われたでしょ(笑)
松岡さん:(笑)
興津さん:野の花? タンポポとかいいと思うよ。
松岡さん:そうですね。綿毛になった時、飛ばすのが楽しかったですね。
興津さん:ふーって吹いて。
松岡さん:あれがまさかタンポポの思惑だとも知らずに。
興津さん:種を増やす為に。
松岡さん:そうなんですよ。
興津さん:「私可愛いでしょ? 繁殖させて」って。
松岡さん:ふーっ、ふーって。
興津さん:よく考えられてますよ。
松岡さん:本当ですよ。大したものなんです。
興津さん:雑草の話。雑草食べる……?
松岡さん:(笑)
興津さん:食べたい草ってありましたよね?
松岡さん:ありましたね。
興津さん:ちょっと美味しそうな草ってありましたよね。で、美味しそうな草に限って食べられなくて。
松岡さん:本当に。
興津さん:イタドリ。葉っぱは丸いんですけど、太い竹みたいで赤い筋が入っているんですよ。その皮を剥くと
中身がフキみたいな繊維があって、それをバリっと食べるとちょっと酸っぱくて美味しい。父親がよく食べてました。
酸っぱいから子供にはいまいちだった。
松岡さん:じゃあ、大人の味覚になった今なら。
興津さん:美味しいかも知れない。最近見ないけど。
松岡さん:ちょっと検索してみよう。
――リスナーさんへのメッセージ
松岡さん:ストーリーにすごく共感できる部分があって、まさに今対人関係で悩んでいる方、色んな悩みを持っている方に
聴いていただける作品です。イケイケの方であっても、この作品を聴いた後では他人を思いやれる人になっているのではないかと思います。
強い人も、自分を弱いと思っている人も、様々な人に聴いていただけたらなと思います。ありがとうございました。
興津さん:貧乏草は野に咲く可憐な花なんですよ。白くて真ん中が黄色い。まさか貧乏草だなんて名前だとは思っていなかった、
それくらい可愛い花です。本質を見極めることは大事ですよね。名前とか周りの言葉に流されることなく、自分の目を信じて、
良いものは良い悪いものは悪いと、勇気を持って生きていけるように頑張りましょう。
松岡さん:はい。
興津さん:僕達も頑張ります。
松岡さん:頑張ります。
興津さん:面白い作品を作る為に、僕達も頑張っていきます。そんな僕達が一生懸命演じた『すみれびより』。
最高の作品になっていると思います。ぜひとも聴いて下さい。そして原作本には時間の都合で割愛されている部分もありますので、
CDを聴いて興味を持った方は原作も読んでいただければと思います。よろしくお願いします。
松岡さん:お願いします。
「原作読者さんへのメッセージ」は2016年3月19日発売の雑誌「小説Dear+ ハル号」(新書館)に掲載!