『犬も喰わない』キャストインタビュー
立花慎之介さん(空木 宏役)成田 剣さん(奥園修治役)飛田展男さん(山代誠之介役)

『犬も喰わない』キャストコメント
竹内良太さん(庄司役)米内佑希さん(椎名 茜役)渡辺 紘さん(山代誠之介・高校時代役)
白井悠介さん(奥園修治・高校時代役)増田俊樹さん(村田&米村役)丸山有香さん(志村保子&斉藤真由美役)



後列左から 志村保子&斉藤真由美役 丸山有香さん、椎名 茜役 米内佑希さん、庄司役 竹内良太さん、
山代誠之介・高校時代役 渡辺紘さん、奥園修治役 白井悠介さん、村田&米村役 増田俊樹さん
前列左から 奥園修治役 成田 剣さん、空木 宏役 立花慎之介さん、山代誠之介役 飛田展男さん


キャストインタビュー
――収録のご感想をお願いします


立花さん:BL作品は濡れ場のシーンが結構あったりするんですけど、そもそもそういうシーンが少なくて
物語性でお話が進んでいて、普通なんだけどちょっと「あれ? おかしくない?」という不思議な感覚、
猟奇的な何かが起こるわけじゃなくて、自然に何かがちょっとずつずれている面白さと怖さが合わさっているような
作品だと思いました。しかも年齢が、20代ではなくてもっと上の人達のお話だったのも、もう一つ作品の面白さだったのかなと
思いながらやらせていただきました。なかなか成田さんや飛田さんとBL作品でご一緒することがないので、
お芝居の面でひじょうに勉強になった収録でした。

飛田さん:僕も実は男子校の出身なんです。
立花さん:え、そうなんですか?
飛田さん:中高男子校。僕が鈍かっただけかも知れないですけど、別にそういう(同性愛的な)話は聞いたことがなかったです。
可愛い子がいるとみんなでぎゃーぎゃー騒ぐことはありましたけれど。こういうなんでもない日常があって、
そこからちょっと角度をずらして見るとこの作品のような世界があるのかなと。このお話はみんなちゃんと暮らしているのに、
妙に生活感がないんですよね。山代さんにしてもどういう家で、どういう家族がいてという具体的な記述はないですし。
だけどちゃんと存在している。絵と活字の、漫画の世界だと人によって色々と捉え方があって、そこが曖昧だけれど面白い部分で、
それをセリフとして音声にすると果たしてどうなるのか、という思いがありました。だからこれはもう現場に来て、
空木くんや奥園さんと実際に会話してみないと全然わからないなと。そういう意味ではすごく収録が楽しみでした。
収録はある程度キャラが決まったらすぐに本番という形で録るやり方ですけれども、何回テストしても、たぶんそのたびに
違うニュアンスが出てきそうな、底が知れない、でもそれがリアルでもあるという楽しさがある現場でしたね。

成田さん:もうなにも語る必要がないね。
立花さん:語って下さい(笑)
成田さん:お二方が言った通りだと思います。
飛田さん:なに言ってるんですか(笑)
成田さん:僕も高校時代、男子校でした。
立花さん:本当ですか? 合わせてるわけじゃなくて?
成田さん:嘘ついてもしょうがない。
飛田さん:まあね(笑)
成田さん:全く女っ気のない学校で、可愛い人なんていませんでした。
立花さん飛田さん:(笑)
成田さん:どちらかと言うと女性に飢えたような学園生活でしたね。(作品は)セリフに色んな意味や気持ちが入っていて、
相手役の一言のセリフでこちらのセリフのニュアンスも変わっていくみたいな感じで、飛田さんも仰いましたけど、
やってみないとわからない面白さがありました。立花くんともBLでは本当に久しぶりで新鮮だったし、
飛田さんは懐の深い方なので、どういう風にくるのかなみたいな楽しみもあって、色んな意味で楽しめた作品だったと思います。
役の一つ一つに設定のような説明がなくて、表現の仕方が役者によって違ってくるから、余計に面白かったですね。

――追う男(奥園)、追われる男(山代)、追う男を追う男(空木)の中で、ご自身がなるならどのポジションが良いですか?

立花さん:追う男ですかね。追われるのは嫌だし。
飛田さん:(笑)
立花さん:追われ続けて、目に見えないプレッシャーを感じながら日々過ごすのはどういう感じなんだろうと考えた時に、
追う方が楽だなと思ったんですよ。追う男を追う男も追ってはいるんですけど、二番煎じよりは一番初めに追いたいかな、
と僕は思いました。

飛田さん:僕はこういう追われ方なら追われる方ですね。あくまで自分が主導権を握っている。そうじゃない形で追われるのは……。
立花さん:確かに(笑)
飛田さん:追う男はある意味追っていることが幸せな部分もあるでしょうし、それを(追う男を追う男として)追うのは
苦しいかなと思いますから、夢想するなら追われるのが主導権を握っている立場で楽しいと思いますね。

成田さん:追われる男がいいかなと思います。その方が楽かなと。
立花さん:労力的な意味で(笑)
飛田さん:追うのは大変だからね。
成田さん:追われている方が幸せという感じがしますね。




――ある程度年齢を重ねてから良さがわかったものは?

立花さん:奈良とか京都とか、今行くといいですよね。修学旅行とかで日本の各地とか、色んな有名な所に行っても、
結局学生時代はそういう古き良きものに大して興味もないので全然記憶に残っていないんですけど、大人になってから
仕事で行ったりした時に、京都ってこんなに良かったんだなとか、古い町並みとか日本文化ってすごくいいなというのを
改めて実感しました。こういう日本の古き良きものが、歳を取ってから良くなってきたなと最近感じ始めました。

飛田さん:古典的なもの、映画とかでも昔見た時はそれなりに感動はしてもあまりピンと来なかったものがわかるようになった、
というのはあるし、逆にわからなくなった部分もありますね。世間ではいいと言われているけれど、「なにがいいんだろう?」
と思ったり。実際に今10代の人がこの作品を読んだり聴いたりしてどんな感想を持つのか、全く想像できないし、
僕の実年齢から読んだ感想とも、自分が10代の頃に持った感想とも全く違うかもしれないから、そういう意味では
10代の人達の感想をすごく聞いてみたいですね。自分の10代と、今現在の10代の人達との違いとか、そういうことを
考えられるようになったというのは、ある程度自分が歳をとらないと感じられないことなのかなと思います。

成田さん:子供の頃は、例えば桜とか富士山とかをあんまりきれいだとは感じなかったけれど、最近はすごくきれいだなと思ったり、
感動しますね。「ああ、日本の自然はいいんだな」ってね。大人になって気づいたこともいっぱいありますよね。
若い頃は時間とか先が見えないからすごく焦っていたのが、大人になってくるとだいたい見えちゃうんですよね、先が。
読めちゃうんですよ。それは寂しいことだけれど、逆になんか安心して、落ち着いて生きていけるんです。
そういうのが、大人になって良かったなと感じますね。

――リスナーさんへのメッセージ

立花さん:ちょっと不思議な日常的な作品に仕上がっていますので、気負うことなくリラックスしてCDを
聴いていただけると思います。皆様の応援をいただければ、彩景先生ももっともっと続編を描いてくれると思いますので、
『犬も喰わない』を応援していただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

飛田さん:効果音や音楽が入ると、漫画から受けるイメージとはまた違った絵になってくると思います。
漫画では実際には喋っていても顔が描かれていなかった部分、空木くんなら空木くん、奥園さんなら奥園さんの表情が、
聴いている皆さんの中で浮かぶような世界になっていたらすごく嬉しいなと思います。

成田さん:一瞬の間とかが聴いている人にとって原作と近いのか遠いのかわからないけれども、そういう部分も楽しんでもらえる
要素になっているドラマCDになった気がします。色んな説明が多い作品とはちょっと違って、聴く人によって
色んな楽しみ方がある中で、原作と上手く重なり合っていけたら嬉しいですね。まだ色んなカップリングが
出来上がりそうな要素もありますし、広がりもある気がするので、そういうところを期待してくれると彩景先生もアイディアが湧いてきて
次に繋がるのじゃないかと密かに思っております。応援して下さい。よろしくお願いします。


キャストコメント
――収録のご感想をお願いします


竹内良太さん(庄司役)
庄司役の竹内良太です。『犬も喰わない』の中では一人浮いていると言うとあれなんですが、
すごく浮き沈みがあるキャラクターで、やりがいがありました。こういう感じの三枚目の役はあまり演じることもなかったので、
勉強になりましたし、新たな引き出しが増えた気がします。またこういう素敵な話に出会えたらいいなと思います。
本当に楽しく演じさせていただきました。ありがとうございました。

米内佑希さん(椎名 茜役)
椎名茜役をやらせていただきました、米内佑希です。この世界の中では椎名くんは
異色な存在だったんじゃないかと思うんですが、そこをどうやったら皆さんに、いい意味でうざがられながらできるかなというのが
チャレンジでもありました。素敵な声と素敵な作品に囲まれた、本当に素敵な収録時間でした。
また次回作もあればぜひぜひ皆さんのいい声の中、一人浮くこの声で登場したいなと思います。

渡辺 紘さん(山代誠之介・高校時代役)
若かりし頃の山代誠之介をやらせていただきました渡辺紘です。久々のBLでした。
メインのキャラクターがいて、自分がその若い頃の役というのは初めてで、飛田さんが演じる山代の過去を
どう演じようかなと思いました。山代の高校時代は、歪んだ愛を作ってしまうきっかけになっているので、しっとりと言うか、
艶やかと言うか、独特な雰囲気のあるこの作品の中でそれをどう表現するのか考えながら演じさせていただきました。
楽しかったです。ありがとうございました。

白井悠介さん(奥園修治・高校時代役)
奥園修治の高校時代をやらせていただきました、白井悠介です。香盤表をいただいた時に
「あ、成田さんの若い頃をやるのか」と思って内心ドキドキしておりました。大人っぽい独特な雰囲気のある作品を壊さないように、
高校時代でも落ち着いている奥園の性格を意識して演じさせていただきました。本当にリアルで、現実でもこういうことが
実はそこら中で起こっているんじゃないかと思わせる作品でした。今後ちょっと街中で人を見る目が変わりそうな気がします(笑)。
とても勉強させていただきましたし、楽しい現場だったと思います。ありがとうございました。

増田俊樹さん(村田&米村役)
村田と米村を演じました。村田は奥園と山代の今現在における二人の関係性の
きっかけになった一人です。奥園に弄ばれた感じや、どう攻められたのかなど、けっこう気になる部分ではあります。
そして寝取られる役というのを初めて経験をさせていただきました(笑)。米村はセリフはそれ程多くはないけれど、
一言一言に愛くるしさがあって、会社内でのマスコット的な先輩なんじゃないかというイメージを持って演じました。
とても楽しく収録させていただきました。

丸山有香さん(志村保子&斉藤真由美役)
庄司さんの元カノの斉藤真由美と、山代さんの元カノの志村保子と看護師を
演じさせていただきました丸山有香です。(出演者の中では)女一人ということで緊張して、ずっとスタジオの壁に寄り添う形で
参加していました。この作品は彩景先生の独特な愛情の描き方が如実に出ているシックなお話だと思います。
声が入るとこんな風になるのかと思いながら、とても楽しく(男性キャラを)振り回させていただきました。
作中のセリフでも出てきますが、確かに女性の方が逞しくて、女性はみんな強いなと思いながら読んでおりました。
聴いて下さる方々も、色んな愛の形を楽しんでいただけたらなと思います。ありがとうございました。


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