CROWN WORKS

『カッコウの夢』キャストインタビュー




後列左から 大谷祐貴さん、陣谷 遥さん、保住有哉さん、小松奈生子さん、山根雅史さん
中列左から 清水はる香さん、続木友子さん、鈴木亜理沙さん、三重野帆貴さん
前列左から 瀬野有滋役 松岡禎丞さん、名塚省吾役 斉藤壮馬さん、白島 尋役 小林裕介さん

※ほぼネタバレです

――収録のご感想をお願いします

斉藤さん:原作を読ませていただいて、素敵なストーリーだし、絵も素敵だと感じました。ただ入れ替わりものということで、音声でどう表現できるのかと思っていたのですが、結構名塚のモノローグで状況説明がされていたので、ドラマCD単体で聴いてもわかりやすいと思うし、これを聴いた上で原作を読んでいただくと、また色んな面が見えてくるだろうなと思える、楽しい収録でした。禎丞さんがエロかったです(笑)
松岡さん:(苦笑)

松岡さん:昨今、入れ替わりものというと、とある作品を思い浮かべる方も多いかと思います。
斉藤さん小林さん:(笑)
松岡さん:あの作品の影響で、原作を知らずに聴かれた方は、もしかしたら本当に入れ替わっているんじゃないかと感じたり、それを信じきれない名塚に共感することもあるかもしれません。結末を知った上でCDを聴くのと、知らずに聴くのとでは違った感じ方になるので、何回も聴くことによって、新たな発見ができる作品だと思いました。

小林さん:今回僕は傍観者的な立ち位置で、とは言え実際に事が起こっている時はずっと寝ていたので、白島は何もわからない状態でした。僕は何が起こっていたか知っているのに、白島は何も知らないフラットな状態で名塚と瀬野の二人に接し続けるというのは思ったよりも難しかったです。その後色んな真実を知っても、結局何も変わらなかった白島は、この中で誰よりも謎の多い人物だと思います。
斉藤さん:確かに謎。
小林さん:個人的には白島のスピンオフが見たいです。過去に何があったのか。
斉藤さん:兄嫁とのやつだね。
松岡さん:あれは確かに。
小林さん:でもBでLなものじゃなくなっちゃう(笑)。収録はすごく楽しくて、何よりも僕のお芝居を真似してくれる松岡さんに感銘を受けました。
松岡さん:大変でした。

――演じたキャラクターの共感できる部分は?

斉藤さん:あんまりないですね。
松岡さん:(笑)
斉藤さん:僕は演じたキャラ、名塚だったら名塚がどういう情報を持っていて、どういう思考回路をしているのかといのを大事にしているので、キャラと自分がどうということは考えないようにしています。ただすごいなって思ったのは、おまけの部分(「その後の話1」)で学校のアイドルに告白されてムリと言うばかりか、「だって俺の隣にいると本当はそんなに可愛くないのバレちゃうじゃん?」って、なかなか言えないですよね。ラッキーって思いますよね、普通。
松岡さん:あんなこと言ったら「ナルシストなんだな」って思われますね。
斉藤さん:でも最後のシーン(「bonus track」)で瀬野がどういう風にしたらいいかわからないと言っている時に、「ごちゃごちゃうるせーな、黙って気持ちよくなってればいいんだよ」みたいなセリフがあって、あれはすごくそうだなと思いました。
松岡さん:あそこに共感(笑)
小林さん:(笑)
斉藤さん:最初はマイルドにやったら、もっとオラついて下さい、オラオラ感出して下さいとディレクションがあって、じゃあと思ってやってみました。肉体を愛しているのか、魂を愛しているのかというテーマがあったと思いますが、肉体と魂は別々なようでいて不可分なところもあるから、余計な柵を取り払って純粋に今を楽しもうよ、今この空間を楽しもうよというのは共感できます。
松岡さん:致している時以外でもね。
斉藤さん:僕は頭でっかちで、あれこれ考えすぎて行動に移せなかったので、アセンションして行動主義者になったら確かにそうだなと思いました。

松岡さん:昔は仲の良い人以外と接するのが苦手で、自分の時間をすごく優先していて、自分の世界だけで生きているみたいな部分があって。でもある時、とある方から「嫌われる勇気」という話を聞いたんです。
斉藤さん:アドラーですね。
松岡さん:自分から嫌われにいくのは違うと思いますが、何かを成し遂げた時や自分がやったことに対して、少なからず「いい」と思ってくれる人もいれば、「なんだよ、あいつ」と思う人も確実に存在していて、でもそれを気にしていたら行動範囲が狭まります。だからそういうことを気にせずに思い切りやっていこうと思ったのが、瀬野の嫌われたくなくてのらりくらりと流されて生きてきた部分だったり、枷を外して先に進もうとして、いい意味でも悪い意味でも人間として成長したことと重なりました。昔の瀬野だったら考えられないくらい大胆になって、でもそれが名塚の為というのが健気だなと思います。
斉藤さん:瀬野と名塚はそういう、作品を通して大きく変わったのが似ているかもしれないですね。瀬野が一番変わったと思うけど、名塚も前は言動が結構アレですよね。「は? お前誰だよ」みたいな……。
小林さん:(笑)
――なぜ白島は名塚と友達になろうと思ったのでしょう?
小林さん:面白かったから。最初の一言も「面白いな、お前」だったし。
斉藤さん:白島もちょっとやばさがあるよね。共感する?

小林さん:意外と白島に共感できます。人の見た目とか、こういう人だからとか、家柄とか、彼はそういうのが一番嫌じゃないですか。ちゃんと人として中身をしっかり見た上で、と考えていて。僕も人を嫌いにはならない性質です。人によって考え方はそれぞれだし、それをいいこと、悪いことと区別するのは簡単ですけど、悪いことだからこの人とは付き合わないとしてしまったら、自分の中で何も広がらないです。白島も名塚とは付き合いが長くて、名塚のことをしっかりわかっているからこそ、ゲイなんだよと言われても全然変じゃないよと優しい言葉を掛けられた。そういう人間関係がすごく素敵だなと思うんです。白島は全く意識せずにやっていると思いますけど、僕も偏見でものを見ないようにはしているので、そういう心根は似ているのかなと思いました。


――『カッコウの夢』を初めて読んだ時、どんなラストになると思いましたか?

斉藤さん:例えば煙草を吸ったりした時も、体が反応しちゃうという瀬野のもっともらしい嘘があったり、バランスが絶妙で、初読の場合本当にどちらかわからないですよね。僕は割りと素直に読んで入れ替わりものだと思っていたので、後半のエピソードが効きました。そしてちょっと暗い話が好きなので、バッドエンドになって欲しいと思いながら読み進めました(笑)
松岡さん:(笑)
斉藤さん: CD1枚目(第6話)の終わりでは、人格が本当に混ざり合っているという方向に行くのかと思っていました。瀬野でも白島でもない、目の前にいる人を愛せるのかと思っていたら、瀬野が「本当に白島が好きなんだな。笑い止まんねえよ」みたいなことを言い出して……。でもいい着地点を見い出せてよかったです。

松岡さん:実はコミックスや台本が手元に来る前に結末を知っていました。入れ替わりもので、最終的にこうなんだよ、ということだけを確か(斉藤さんと小林さんの)どちらかから聞いたんです。
小林さん:俺かな……。
斉藤さん:由々しき事態(笑)
松岡さん:実際に原作を読んでいくと、結末をわかってはいても、上巻ではやっぱりこれは本当に入れ替わっているなと感じます。ルバイヤートのところが決定的な打撃になって、名塚が「お前は本当に白島なのか」と言った時、ああ名塚が完全に落ちたなと。
斉藤さん:めっちゃ瀬野目線(笑)。瀬野は役者になれる。
小林さん:(笑)
斉藤さん:ルバイヤートの四行詩は、相当暗唱してたんでしょうね。きっと一時期は瀬野の部屋の壁にも貼ってあって、どこに行ってもルバイヤート。
小林さん:すごいな。それはもうストーカーの才能があるよ。
斉藤さん:ある意味そうでしょ、だってルバイヤートの使用用途が観察日記だからね。
松岡さん:(笑)

小林さん:僕は名塚と同じです。ルバイヤートの辺りで、「あ、マジだ」って。
斉藤さん:やっぱりルバイヤートの存在はでかいよね。
小林さん:なのでオチとしては、白島が目覚めたら人格が元に戻って、白島と名塚でラブラブしていくんだろうなとストレートに思っていました。
斉藤さん:王道でいったら戻っても瀬野とだけど、中身が好きだったらそうなるね。瀬野だけが悲しい話。
小林さん:そう。でも裏ではセフレとして瀬野とも付き合い続ける。
斉藤さん:やばいね。
小林さん:グッドエンドなのかバッドエンドなのかわからない。そして白島はその事実を知らない。

――リスナーさんへのメッセージ

斉藤さん:複雑で、一体どういう風に結末を迎えるのかというようなシリアスな内容ですが、要所要所に名塚家のコミカルなシーンもあったりして、ひじょうに聴き応えのあるCDになっていると思います。ぜひたくさん聴いていただいて、原作と合わせて楽しんでいただけましたら幸いです。よろしくお願いします。

松岡さん:この作品では人間関係の様々なことを考えさせられますし、作中のキャラクターを自分に置き換えてみると、「その気持ちわかる」と共感できる部分も多いと思います。これ以上は何も言いません。ぜひ聴いて下さい。

小林さん:ご存知の方もいるかもしれませんが、僕はためこう先生の作品に出演するのはこれが2作目で、先生の常に仄暗い作風が個人的に大好きです。『カッコウの夢』も家族のシーンのような、明るくポンと跳ね上がるシーンもあるんですが、ベースは基本的に明るくなれず、モヤっとした空気感がずっと漂っています。でも最後まで聴けばきっとすっきり爽快感を感じられる仕上がりになっていると思いますし、こういった世界観が好きな人達もいっぱいいると思うので、どんどん拡散して、ためこうワールドを広げていっていただけたら嬉しいです。