『みだらな猫は爪を隠す』キャストインタビュー




後列左から ミケネコ便ドライバー役 岡本幸輔さん、田中大樹役 安田陸矢さん、佑川急便ドライバー役 岡野友佑さん、佑川急便・ミケネコ便ドライバー役 相馬康一さん
中列左から 洋菓子店の店員役 長谷川育美さん、汐里役 櫻庭有紗さん、801号室の住人役 織江珠生さん
前列左から 三池悠一役 斉藤壮馬さん、天野 陸役 中島ヨシキさん

――収録のご感想

斉藤さん:ミケはコミュニケーションがヘタということもあって、原作では表情だったり間だったりの絵で補完されている部分があったので、それを音声のみで表現するということは、自分の中でしっかり作り込んでいかないといけないな、なんて思いながら台本をチェックしていました。実際には掛け合いをしてみると、感情を無理なく表現できれば概ね「……」と書かれているシーンも変に誇張して表現する必要なく演じられたので、やっぱり一緒に掛け合いできるからこその楽しさというものがあるんだなと思いながら収録させていただきました。

中島さん:ミケのキャラクター的には無口であんまり人と話すことが……というところだったと思うんですけど、そのミケの言葉にいちいちリアクションしたり、心情を想像したりというのが天野のキャラクターだったので、必然的にセリフ数が増えていくところに難しさを感じました。全体で見た時にミケもキャラクターとしての印象が薄いわけでもなくて、このバランス感覚が面白くも難しい部分だと思いましたね。作品が透明感のある感じで進んでいくので、あまりキャラクターのクセが強くならないようにというのは考えるところではありました。


――ミケちゃん、天野を演じてみてのご感想

斉藤さん:(CD収録の)フリートークにも繋がるんですけど、ディレクションで結構いただいたのが「結果的に天野からすれば可愛く感じるけれども、声が高くとか幼くというような可愛さではないところを表現して欲しい」ということだったので、それをベースにキャラを作っていきました。ただ「ここは可愛くして欲しい」と言われるポイントもあって、ポイントポイントでどちらを求められているのかを感じながら収録を進めていくのは難しかったですね。ミケを演じるのは自分にとって新しい挑戦だなという気持ちだったので、ミケは感じたことをこういう風に表現するんだというのが、収録の中で掴めてきたのがすごく楽しかったです。

中島さん:天野は、彼の同級生の中でたぶん経験値が多いんだろうなと思わせる落ち着き方をしているイメージでした。設定の中で年齢はすごく気にする部分で、21歳、大学生くらいの年齢感を表現する時のセオリーみたいなものは自分の中になんとなくある中、それよりも天野の体格であったり、今まで培ってきた経験であったり、ちょっと不真面目な部分であったりというところを、実際の年齢より多少上に聴こえてもかまわないから優先して欲しいとディレクションをいただいて、そこが難しかったです。声が低ければいいってものでもないし、太くすればいいのかというとそういうわけでもないみたいな。このバランスというのは、やはり演じながら探るしかなくて難しい部分ではあったんですけど、全体的には奇をてらった人間ではないので、等身大のキャラクターを表現するという意味では、逆に生々しくリアルにできたのかなと思います。

――リスナーさんへのメッセージ

斉藤さん:原作を読んだ時に最初は絵もキレイだし素直に読めるのかなと思いきや、演じる身からすると、ミケと天野のキャラ造形はかなり複雑なんじゃないかという作品でした。シンプルであり奥深いキャラの作られ方やストーリーが、音声としても面白いものになって皆さんに届けばいいなと思っています。ミケは「そんな言い方しなくても……」とか「言う順番逆!」みたいなところが結構あるんですよ。
中島さん:うん(笑)
斉藤さん:そんなところもあって、想いはシンプルなのにすれ違ってしまうというドラマをすごく丁寧に描いている作品なので、それが皆さんに伝わればいいなと思います。ぜひ原作と合わせて楽しんで下さい。お願いします。

中島さん:最初はアンバランスなところから始まっていったものが、なんとなく少しずつ噛み合ってきたりとか、噛み合ったと思ったらちょっと噛み合わなかったりとか、ロジック通りに進まない作品です。ミケの言葉のチョイスもそうですけど、どうしても突っぱねちゃって素直になれない天野もいたりというじれったい部分や、どうしてもっと素直になれないのかなと感じる部分がこの作品の面白さにもなっていると思います。細かくディレクションもいただいて、ふたりで細かくお芝居してますので、ぜひそこを聴いていただいて、楽しんでいただきたいです。