想定外のスウィートマリッジ
結城 律役 田丸篤志さん
本条悠馬役 八代 拓さん
左から:結城 律役 田丸篤志さん、本条悠馬役 八代 拓さん
――収録のご感想
田丸さん:テンポよく収録できたのかなと思っています。律は実家に帰るとか同僚と話す機会とかが少しはあったんですけど、基本的には律と悠馬の二人にがっつりと関わってくる第3の人物がいなくて、いかにこの二人で心を通わせていくか、お互いにしっかり向かい合うかという時間だったので、お芝居的にもすごく楽しむことができました。
八代さん:この作品のゆっくりじっくり二人の関係が進んでいくところが、僕はすごく好きです。最後まで演じ終えた時には、二人の少し幸せを分けてもらったような感覚になって、とても楽しい収録でした。
――律の「この指に、指輪が嵌っているところを見るなんて、思いもしなかったな」のように、人生で「まさかこうなるとは思っていなかった」ということは?
田丸さん:今こうしてここにいることが(笑)
八代さん:それですよね(笑)
田丸さん:僕は声優を目指したのが割と遅くて。早い人だったら中学生くらいから声優になりたいって決めて行動し始めるんですけど、僕は大学2年生からで、その大学も特に将来これになりたいとかはあまりなく、なんとなく通っていたんですよ。なので自分がこうして、この歳になっても声優を続けているのが不思議でしょうがないです。そして声優になってからも、自分は裏方みたいな立場でやっていくんだと思っていたので、サインを書かせてもらうとか、人の前に立つ時、ふと我に返ると不思議に感じちゃいますね。
八代さん:冷静になると「あれ? なんだ?」ってなりますよね。
田丸さん:どうしてこうなったのか不思議ですよね。
八代さん:僕は学生の時は「髪なんか染めるか」って思ってたんですよ。別になんの拘りもないのになぜか。
田丸さん:(笑)
八代さん:そう思ってたんですけど今は染めまくってますし、現金主義者で「カードなんか持つか!」って思ってたのに複数枚持ってますし、「都内で車いらないよ」だったのが毎日乗っています。そう思うと、「まさか」じゃないけど意外と自分の考えってコロコロ変わってるんだなって。
田丸さん:そうかもね。些細なことだと、僕は今髪がこの明るさ(ページ上部写真)になってるんですけど、気づいたらこうなっていた感がありまして……。
八代さん:自分で染めたんじゃないんですか(笑)
田丸さん:元々染めてはいて、ちょっと色が抜けて明るくなりすぎたからベースを落ち着かせたいですって美容師さんにお話ししたんですよ。そしたら「じゃあベースを結構落ち着かせて、明るめのハイライト入れちゃいます」って言われて。で、僕は美容師さんが自分の引き出しにないものを提案してくれた場合、その方が面白いなと思って乗っかるようにしてて、じゃあってお願いしたらブリーチ始められて、その説明はなかったよね……? ってなって。
八代さん:それは最初に言わなきゃダメですよね(笑)
田丸さん:明るくするとは言ったけど、明るめのハイライト入れるとは言ったけど、ブリーチしますとは一言も言ってないんですよ。なのに始まってて、あれ? って。
八代さん:怖い(笑)
田丸さん:その後も「髪の毛、後ろの方さっぱりさせちゃっていいですか?」って言われて、じゃあって返事したらバリカンでウィーンって。
八代さん:刈り上げ(笑)
田丸さん:思いっ切りバリカンかけられながら、「あ~、聞いてないな~」って思いました。
八代さん:冷静ですね。
田丸さん:で、今のこの髪型になりました。
八代さん:メッシュみたいに箇所箇所でブリーチしたんですか?
田丸さん:そう。ちっちゃい束を作って、そこだけブリーチしてました。ブリーチをしますとか、バリカン使ってかなり短めにしますと言ってくれればいいんですけど、言わずに(笑)
八代さん:何も包まずに言うと、その美容師さん嘘つきですよね(笑)
田丸さん:(笑)
八代さん:結果的に似合ってるし、仕上がりがいいから許せるだけで(笑)
田丸さん:今若干、その時「あ~、そっか、まいっか」と思っていた自分と律が重なりました。
八代さん:(笑)
田丸さん:「偽装結婚? ああ、まあ合理的か」っていう律と、「そんなに酷いことにはならないだろう」と思っていた自分と。どちらも「こうしてください」とは一言も言ってない。
八代さん:まさかこんなことになるとは(笑)。でも質問の回答としては100点です。
田丸さん:どんな髪になったかは写真でご覧いただきたいと思います(笑)
――料理上手な悠馬のように、得意料理はありますか?
八代さん:炒飯です(笑)
田丸さん:いいな。
八代さん:いいことないですよ。炒飯が得意料理って、僕は料理しませんと言ってるのと一緒ですからね。
田丸さん:炒飯作れないかもしれない……。
八代さん:……。飯を炒めりゃ炒飯ですから!
田丸さん:作ったことない……。
八代さん:得意料理はなんですか?
田丸さん:ゆで卵。
八代さん:……なるほど。
田丸さん:すっごく良い加減にしてあげるよ。
八代さん:なるほど……。僕は料理できる方なんですね……。
田丸さん:(笑)
八代さん:初めてです。こういう話題で自分が料理できる側になったの(笑)。料理しないですか?
田丸さん:肉を焼くとか炒めるとか、鍋に入れるだけみたいなのはやるけど、そこから一歩踏み込むのは……。材料多いのはもう切るのが面倒くさくて。
八代さん:外食が多いんですか?
田丸さん:だって余った材料が上手く使えない。
八代さん:わかる。
田丸さん:野菜買ってきても、レシピを見ると買ってきた中のほんのちょっとしか必要ない。7割くらい余るけど、この7割をどうすれば……。
八代さん:金銭的にも損じゃない? って。
田丸さん:そう。この7割で料理できないの? って。
八代さん:わかる。
田丸さん:コロナより前だと飲み会とかもあって、結局残ったものを捨てちゃうこともあったから、勿体なくて料理しなくなっちゃった。
八代さん:そうしてきた結果、得意料理はゆで卵。
田丸さん:ゆで卵。
八代さん:これはしょうがないです。僕も背伸びしてカッコつけて炒飯です。
田丸さん:背伸びしなかったら?
八代さん:……カップ焼きそばですね。
田丸さん:それはゆで卵の勝ちじゃない?
八代さん:僕が作るカップ焼きそば、めちゃくちゃ美味いですよ。
田丸さん:(笑)
八代さん:誰が作っても美味いだろって(笑)
田丸さん:本当に気まぐれで、今日は一日休みだ、やる気もある、っていう時に作ったりしなくもないんですけど、結局市販のものに勝てない……。例えば(作中に)出てきたハンバーグ。今年1回、家で作ったことはあるんですよ。でも「ん~、まあこんなもの?」みたいな感じになっちゃって。
八代さん:「自分で作るとやっぱり違う!」にはならなかったんですか?
田丸さん:……うん。
八代さん:(笑)
田丸さん:柔らかくハンバーグ作るの難しいんだな~って。柔らかくし過ぎると焼く前の段階でバラバラになるし。
八代さん:(笑)
田丸さん:牛乳の量で柔らかさを調整しなさいって書いてあったの、レシピに。
八代さん:はい……(苦笑)
田丸さん:入れ過ぎると柔らかくなるのよ。で、形を保てるように牛乳を減らしていくと、焼き終わった後に硬くなったり。
八代さん:はい……。
田丸さん:あんまり美味しくならないな、ジューシーさないな、みたいな。
八代さん:確かにお店の方が美味しい。
田丸さん:となると、後はもうソースの味次第になってくる。ソースまでは自作しなかったから、そうすると市販のソースの味が全てになるじゃない。
八代さん:それ、市販のソースが美味しいだけですもんね(笑)
田丸さん:そういうことになっちゃうんだよね。
八代さん:難しいですよね。だから悠馬はすごい。
田丸さん:そこに落ち着くよね。
――発売を待っている方へのメッセージ
八代さん:冒頭でも言った通り、彼らの、彼らにしかできない関係性の育み方、物語の紡ぎ方が僕は大好きです。その中でも、僕は悠馬を演じさせていただいたので悠馬の話をすると、僕の受けた印象、演じる上で意識していたのは彼はすごく気遣い屋さんだというところです。恐らく彼の歩んできた人生は、周りに気を使ったり、周りをしっかり見て、自分が周りからどう見られているのかを考えないとというのを、意識的にも無意識的にも根付いていて、だからこそ始まった律との関係性があるんだと思います。律は律で気遣い屋さんで、気遣い屋さん同士のもどかしい、でもほっこりするような二人の物語をドラマCDで聴いていただければと思いますし、ぜひ原作も、すごく絵も素敵なので読んでいただけたら嬉しいなと思います。
田丸さん:漫画を読んで驚きの始まり方をするな、そこから律と悠馬がしっかり向き合っていくんだなとは思っていたんですけど、演じながら僕はもっと悠馬を知りたくなりました。悠馬は律に偽装結婚を持ちかけるに至るまで、どんな目線で律を追いかけてきたんだろうなとか。読んでいただいた方、聴いていただいた方にも、彼のバックボーンはどんなだったんだろうなというところまで思いを馳せられる作品になっているのかなと思います。そしてインタビューを受けながら、僕も「とりあえずやってみるか」「受け入れてみるか」という点があることに気づけて、もしかしたら律は意外と自分と近いのかもしれない、これはいいキャスティングだったんじゃないかなって(笑)
八代さん:自ら言っていくスタイル(笑)
田丸さん:文字で書かれるとめちゃくちゃ自信満々に見えそうで怖いんですけど(笑)。でもそういう意味でもいいキャラクターに出会うことができたと思っています。律と悠馬の行く末を引き続き見守っていただければと思います。