教室を出たら俺のモノ

堀江さん：山下さんと二人で掛け合うBLCDは2回目ということもあって、僕は自分が心地よく感じるような間や芝居感でできたのが印象的でした。始めから終わりまで、楽しく収録することができました。
山下さん：堀江くんとBLとしては2回目、それ以外の仕事では随分ご一緒しているので、堀江くんが言ってくれたように心地いい間でやれるのは収録前からわかっていたのですが、それに加えて今まで聴いたことがないホリエルの可愛さ純度100％みたいな芝居をダイレクトに感じて、ホリエルの引き出しの多さや、その開けた引き出しの質の高さに改めて驚きました。実りの多い収録でしたね。
堀江さん：へへ（照れ）。褒めの世界チャンピオンみたい。
山下さん：（笑）。ひなとの言葉を選んで考えた結果、「あっ」「う……」ってなっちゃう、絵で見て面白いところを声だけで表現するのは難しいことだと思うんですけど、ホリエルはそれを上手く表現できるのが、自分にはできないことだからすごいなって。
堀江さん：でもどもりの芝居をしてるとうつっちゃう……。僕普段こんな喋り方じゃないです。
山下さん：ひなとくんがまだいる？
堀江さん：いますね。
山下さん：それぐらいホリエルはひなととシンクロするところがあったんだろうな、というのは収録していてずっと感じていました。
堀江さん：僕も山下さんのお芝居が本当に好きで。
山下さん：うっ（照れ）
堀江さん：リアルな息遣いを感じるような、自然体のお芝居をされるのがとても。そういう人と一緒にやるのって、なんとなく緊張するんですよね。
山下さん：そんなそんな。でも神崎くんは逆に、あんまり色を出しすぎると聴いていてチャラくなっちゃわないだろうかとか、そのバランスが難しかった。彼の自分のエゴや強い部分を必死に押し隠しているのに、望む望まないに関わらず周りを惹きつけてしまう部分は、誇張し過ぎちゃうとキャラクターとして他と浮いちゃうのかなというのもあって、匙加減が難しかったです。
堀江さん：一緒です。浮いちゃわないように馴染ますというのは意識しました。
山下さん：そうだよね。どもりもテクニックで誇張すると浮くよね。
堀江さん：浮きます。
山下さん：だからそのバランスがすごくよくて、特に過去の回想の告白のところがぴったりだった。「ここだ」っていう表現の針の穴にすっと通っていった感じがすごくよかった。
堀江さん：ありがとうございます（照れ）
山下さん：お互いをリスペクトし合う収録になりました。

山下さん：僕は絶対似てない。神崎みたいな学生生活だったら、役者になっていたかもわからないくらい似てない。全然違う世界の人だと思っています。だからこそ、自分にないものを出そうと思って、逆に振り切って演じられた部分はありました。
堀江さん：共通点とかない、自分とかけ離れた役の方がやりやすかったりしますよね。
山下さん：意外とね。ひなとには親近感あった？
堀江さん：ひなとはベクトルは違えど価値観は似てるのかなと思ったですけど、演じていたら、神崎くんにめっちゃ愛されているから自己肯定感が全くないわけでもなくて、卑屈すぎないところがいい子で、陰の方向性は似てても細かく見て行くと僕とは全然違う男の子だなと感じました。

山下さん：図書館はあまり行ったことがないんですけど、図書室は小学校の頃によく行っていました。静かだし、本の匂いが好きで。図書室独特のちょっと埃っぽい、もう何十年とそこにある匂いとか、どこで付いたのかわからない汚れとかが好きで、本の虫とまではいかないですけど、ヨレヨレの偉人の伝記とか歴史の本とかをよく借りて読んでいました。
堀江さん：僕は逆に図書室にはあんまり近寄らなくて、図書館はめっちゃ行ってました。地元にちょっと歩くと市立図書館があって、放課後や休日に入り浸っていました。当時家にはネットに繋がったパソコンがなくて、図書館に行くとネットも使えたので。
山下さん：どんな本を読んでた？
堀江さん：小説ですね。ラノベも読みました。
山下さん：置いてあるもんね。
堀江さん：文豪の作品も。楽しかったです。
山下さん：まさしくひなとっぽいね。
堀江さん：確かに。本がいっぱいある空間が好きっていうのは似ていたかもしれない。
山下さん：紙の本はいいよね。電子が増えてきてるけど。
堀江さん：小説は紙がいいですよね。
山下さん：漫画も、見直す時に早いんだよね。あとは置く価値。表紙を眺めるとか。
堀江さん：収集欲満たされますよね。漫画もできるだけ紙にしたい派なんですけど、最近電子になりがちで……。電子もさくっと手軽に読めるし、電子が悪いとかではないんですが。
山下さん：紙とは用途が違う感じはあるよね。（収録用に）データでいただいていたんですが、現場に紙のコミックスも用意されていて、やっぱり見直すのに早くていいなって。よりダイレクトに絵の力を受け取れる気がする。
堀江さん：ページを開いた時に目に入るコマ数も、絵が目に飛び込んでくる感じも、自分の指でめくってというのがある方が大きいです。
山下さん：カバーを外して裏を見る趣味わかる？
堀江さん：わかります。
山下さん：（『教室を出たら俺のモノ』コミックスカバーを外し）ほら、漫画があった。（読みながら）初めて見た。かよちゃんが盗撮してる。神崎野津フォルダ作ってる。強く生きてる。見守る式の女の子になっちゃった（笑）
堀江さん：見守る式（笑）
山下さん：あの時（episode.2）は酷いセリフを言って、本当にごめんなさい。
堀江さん：（笑）

山下さん：コミックスを読んで楽しみにしてくださっている方には、ぜひ早く聴いていただきたいのと同時に、皆様の中の神崎像もあると思うので、そこは沿えているだろうかと不安な部分でもあります。収録は坂田くんも一緒に三人で楽しくやらせていただきまして、休憩中のノリの良さとか、休憩ごとに深まる三人の関係値もどんどん芝居に反映されて、よりよい空気感や掛け合いの感じがマイクに乗っているんじゃないかなという自信も多少持ちつつ、頑張ってやらせていただきました。皆様の日常に「ああ、世界って優しいんだな」というちょっとした勇気や元気をくれる作品になっているんじゃないかと思います。我々はこの先の話だったり、スピンオフを夢見ておりまして、それぐらいこのままでは終わりたくない現場になりました。皆様の応援がそれを実現させるんじゃないかなと勝手に思っておりますので、ぜひぜひ楽しんでいただいて、応援していただければ嬉しいです。