むかつくアイツに撫でられたい。

重松さん：作品もとても面白いものだったし、中島さんとはBL作品では初めて共演させていただいて、そういったところも含めて、収録をすごく楽しみにしていました。柚木くんの思いをどう伝えたらいいんだろう、この子の良さをどうしたら伝えられるんだろうと色々試行錯誤して、ディレクションでもサポートしていただきました。巻末トークでもちょっと触れたんですが、今もきゅんきゅんしています。皆さんにもそれが伝わっているといいなという気持ちです。
中島さん：1ページ目で綾瀬が登場した時、最初はこの先の綾瀬も知っているので嫌な奴になりすぎてもなとか色々考えたんですけど、「コテコテで」「別人かのような」とディレクションをもらって、時代劇のような気持ちで「あーっはっはっはっ」って言いながら出ていきました。あれは柚木の気を引きたいというのも多少あっただろうし、後の方で語られていましたけど、みんなから愛されている柚木の、絶対に人には見せない部分を知りたいっていう独占欲がひねくれすぎてああなる、不器用と純真とみたいなのが可愛い奴ですよね。不器用極まれり（笑）
重松さん：（笑）
中島さん：たぶん今までに演じたキャラの中で一番、拗れているとか捩じれているとかじゃなく、ただただ不器用（笑）。それなのに仕事はできるんだから、ギャップがすごいですよね。
重松さん：なんかこう、ワンちゃん……？ 犬？ 2匹の。
中島さん：キャンキャン吠えてるけど、しっぽはブンブン振ってるみたいな。
重松さん：小型犬と大型犬のわんわん物語みたいな、すごく癒されるお話。
中島さん：原作を読んだ時から全体的に毒気のない作品だなと思っていましたけど、思っていた3倍くらいは毒気のない収録になりました。
重松さん：ハッピーエンドが好きな、きゅんきゅんなお話が読みたい方にはオススメしたいなという気持ちですね。
中島さん：ほんとに。
重松さん：柚木くんは結構ストレートで純真なんだけど、手フェチをめちゃくちゃ拗らせているという（笑）
中島さん：（笑）
重松さん：真っ直ぐで純真でっていう人とは、自分があまりそういうタイプではないのでなかなか出会わなかったりするんですけど、ギャップがあると一気に親近感が湧いたり、魅力のある人だな、人間味があるなと感じます。柚木くんもギャップのせいで恋人ができないから、人間何か1つは「おや？」というところがあるんだな、って。マスターになってヨシヨシしたい。
中島さん：マスター側なんだ（笑）
重松さん：撫でるだけでいい。撫でさせて欲しい。営業のやり方は綾瀬とは全然違うタイプで、営業先の人達も柚木くんの屈託のないところに惹かれて契約を結んでくれるのかもしれないけど、そこで綾瀬と競るくらいの成績を叩き出せる実力の持ち主でもあって、もっと自分も頑張らなきゃなという気持ちにさせてくれる愛すべき人物だと思います。

中島さん：先輩も後輩も同い年も、役を争うことはあるけど、マイク前じゃなければ普通に友達みたいな時もあるし、ライバルというと難しいなって。僕は10代から仕事をしていて、地元も関東なので近いが故に頻繁に帰ることもないから、地元の友達よりもこっちで知り合った役者とか業界関係者の方が付き合いが長いんですよ。だから友達であり仕事仲間であり、ライバルでありという色んな要素が一人の中にあるので、あんまり「憎し」とか「絶対に負けないぞ！」みたいなハングリーな気持ちはなくて、どちらかというとフレンドリーな気持ちでやってきているかもしれないですね。
重松さん：僕もライバルとは意識したくないタイプです。みんな仲良く仕事しよ、お手々繋いでマイク前、みたいな。
中島さん：（笑）
重松さん：みんながそういう気持ちであればいい作品作りに繋がると思うので、争いとか負けないぞという気持ちよりも、みんなでいいもの作ろうよという意識で仕事をしています。なのでライバルはいないです。

中島さん：どこだろうな……。
重松さん：いっぱいありすぎる？（笑）
中島さん：やっぱり声ですかね。この仕事をしていて日頃耳を使っているからかもしれないですけど、男性女性問わず聴くというか、いい声、低音イケボとかヒロインのようなとかじゃなく、よく通るとか芯があるとか、逆にウィスパーボイスとかは、別に声優さんの声じゃなくても意識しなくても耳に入ってくるような気はします。あとは顔。
重松さん：え……？ 面食い……？
中島さん：はい。
重松さん：（笑）
中島さん：持論なんですけど、第一印象はやっぱり顔、見た目じゃないですか。
重松さん：そうですね。
中島さん：見た目で嫌悪感がなかったり、カッコイイな、可愛らしいなと思わないと、そもそも好きにならない。
重松さん：（爆笑）
中島さん：顔が好きだったらなんでも許せるというか。
重松さん：そっか（笑）。僕は柚木くんと被るんですけど、手は見ますね。人の顔を見て喋るのが苦手なので、地面を見ながら生きていると、視線が自然と下に行くので。
中島さん：ちょいちょいおもろいな（笑）。手が見えちゃうってことか。
重松さん：そうです。優しくされるとだんだん視線が上がってきて、でも限界値が手ぐらいなので、手は自ずと目が行ってしまいます。足はみんな服で隠れていて見えないけど、手は一番露出しているので、昨今は男性でもネイルとかして手入れされているんだなとか、怪我をしていたらどうしたんだろう？ とか、人となりや体調、何かあったんだろうなという出来事が見える部分。
中島さん：生活は見えるかもしれない。
重松さん：だから結構見たりしますね。別に柚木くんみたいに欲求不満ではないはずなんですけど……。
中島さん：（笑）
重松さん：もしかしたら……（笑）
中島さん：ひょっとしたらね（笑）

中島さん：まだまだ続きが楽しそうなケンカップルで、二人にはキャンキャン吠え続けていて欲しいな、と思うくらい平和な感じがしました。手フェチというフェチものであり、オフィスものであり、でもすごく純な青春もあり、色々な側面がある作品です。マスターは一緒に収録できなかったから、潤さんのマスターがどんな仕上がりになっているか気になっていて、たぶんこれはリスナーの皆さんも楽しみにしていらっしゃるところなんじゃないかなと思っていますので、完成版を共に楽しみにさせていただきたいなと思います。