凪がれ星
獅倉槇人役 大塚剛央さん
一宮天惺役 古川 慎さん
左から:獅倉槇人役 大塚剛央さん、一宮天惺役 古川 慎さん
――収録のご感想
大塚さん:(CD収録の)フリートークでも話しましたけど、たぶんBLCDでメインになるのは初めてでした。僕自身はそこまで気負っていたわけではないんですけれども、『凪がれ星』は心にすっと入ってくるすごく素敵な物語で、初めてのメインがこの作品で嬉しかったです。演じる大変さはありましたが、楽しんでやれたのかなと思っています。
古川さん:実はこのCD、台本が66ページと結構長くて、2日に分けて収録する予定だったのですが、進捗状況がいい感じだったので「1日で録り切っちゃいましょう」ということになり、急遽1日で収録し終えてしまいました。僕は原作有りのドラマCDをやらせていただく時は、なんとなく自分の中で決めていって、ディレクションで言われたことを反映して、収録の中で徐々に作っていこうと思っています。今回、そうして作っていった先の掛け合いで、大塚くんのお芝居に助けられたなというところも多かったです。それが故の1日で終えられた収録時間だと思いました。作品ならではの面白さ、優しも楽しく、勉強になるなと思いながら収録させていただきました。
――演じる上で意識したことは?
大塚さん:最初のディレクションで、自分の作ってきたものとは、かなりがらっと変わったなっていうのは思いました。
古川さん:すごかったですもんね。「もっと美しく」「もっときれいなお姉さんで」「サバサバで」って。かと思ったら「オラオラで」みたいな。
大塚さん:そうですね。僕はもう少しカラっとした人なのかなと思っていて、自分で作っていく上では持っていなかった繊細さ、美しさを強く表していくというのは、なかなか苦労しました。なんとかそこをベースに保てればと思いながら収録していきましたね。
古川さん:最後には完全になってましたよ。ああもう手慣れたものだな、ぐらいですよ(笑)
大塚さん:なってないです(笑)
古川さん:完全に掴んだなという印象を受けました。いい感じに手玉に取られたな~という感じが(笑)
大塚さん:僕自身は古川さんにすごく助けられたなという思いでいっぱいです。
古川さん:いやいや(笑)
大塚さん:本当に。
古川さん:僕はきれいなものを追いかけるだけの人だった(笑)。と言うと語弊があるんですけど(笑)
大塚さん:言い方(笑)
古川さん:天惺の、きれいだなと思った槇人という人を誰にも取られたくないし、深く愛している部分ですごくピュアなものを要求されていると感じました。BLにおいてピュアはよくある様子だと思うのですが、最近そういう作品はやっていなかったこともあり、なるべくピュアにと意識していました。たまにちょっと攻撃力を強めたくなって、そういうお芝居をしたら「ごめんなさい、絵がそんなに攻撃力強くないので下げてください」と言われて、ダメか~って(笑)
大塚さん:ダメでしたね(笑)
古川さん:自分の中のバイオリズムと絵のバイオリズムと合わせるのはちょっと意識しましたが、総じて楽しく手玉に取られた感じです(笑)
大塚さん:(笑)
――槇人のように仕事を辞めようと思ったことや、辞めようと思った時に立ち直ったきっかけは?
大塚さん:今のところ、辞めようと思ったことないですかね。僕は声優というか、お芝居というものを全くわからない状態で足を踏み入れたのもあって、やっていく中で何か見えてきたり、そこから例えば何歳までに芽が出なかったら辞めようかなとかを考えるようになるのかと思っていたんですけれども、そんなこともなくここまで来ました。
古川さん:運もあったし、才能もあったんだろうね。
大塚さん:だから好きかどうかもわからなかったんですよ、お芝居というか、このお仕事が。
古川さん:こっち側に来たきっかけはなんだったの?
大塚さん:きっかけは、普通に就職をしようとしていて、ちょっと就活で挫折というか嫌な思いをして、これからどうしようかなって将来をすごく考える時期があって、その時にこれは自分でも本当に不思議なんですけど、声優と仕事というのが嵌って、「あ、そうか、声優も仕事なんだ」と思ったらやりたくなりました。
古川さん:本当にふとしたきっかけ。
大塚さん:そうなんですよね。
古川さん:ジャンヌ・ダルクみたいな、ふとしたきっかけの典型だね。「声優は仕事だよ」「そっか、俺は声優になろう」。すごいね。
大塚さん:やりたくなって、今ここにいますね。
古川さん:僕は仕事を辞めたい、辞めようと思ったことはないけれど、辞めた方がいいのかなと思うことは何度かありました。自分がどういう風に求められているのかわからないとか、自分のやりたい方向性と求められている方向性がどんどん違っていって、動いても動いても結果が出ないとなった時は、やっぱりもう難しいかもしれないと思ったりもしました。それでもなんだかんだ進んでいったら、ご縁やマネージャーのお陰もあって、自分のやりたいことでもどんどん進んでいけるようになったので、自分自身の努力だけじゃなく、周りの方々の助けも大きいと感じています。
――発売を待っている方へのメッセージ
大塚さん:この作品だけでなく、自分が関わる作品は、自分が演じて世に出る前に原作を読まれている方それぞれにイメージがあったり、見た人、聴いた人それぞれに答えがあると思っているので、僕が演じた槇人もいっぱいいる中の槇人の一人と捉えていただけると、僕はもっと作品が広がるのかなと思っています。もちろん僕は自信を持って全力でやらせていただきました。槇人と天惺が出会ってどんどん世界が広がっていったように、ドラマCDで新しい発見をしたり、槇人が「もうちょっとだけ楽に」言っていたように自分の感覚を信じて気楽に楽しんでいただけたらいいのかなと思います。
古川さん:ドラマCDになって、改めて新しい発見があって、それを音付きで楽しんでいただいて、素敵な時間を過ごしてもらえるといいですね。
大塚さん:そうですね。たくさんの人に聴いて、楽しんで欲しいです。僕自身、一緒に収録できなかった方もいるので、完成を楽しみにしています。『凪がれ星』のドラマCDを見なさんと一緒に楽しんで、作品の輪を広げていければと思っておりますので、よろしくお願い致します。
古川さん:『凪がれ星』という作品が好評だからこそドラマCDになり、今後ももしかしたら色々なことが決まっているのかもしれないし、これから決まっていくのかもしれない、そんな中で最初にドラマCDの制作が決定して、そこに関わらせていただけたことはとてもありがたいです。長い物語が1冊のコミックスになっていて、そこで綴られている人間模様は、天惺と槇人のものが一つ大きくはあるんですけれども、周囲の人間模様も実は伏線が張られています。どことどこが繋がってというのを掘っていけば掘っていく程、何か面白いものが見えてくるんじゃないかな、また面白い景色が見られるんじゃないかなと思っておりますので、ドラマCDを聴いていただいて、原作もより多くの人に広めて応援していただきたいなと思います。さっき大塚くんが言っていたように、他のキャストがどんなお芝居をされているのかはまだ僕らが知らない部分で、完成した『凪がれ星』のドラマCDがどんな世界になっているのかが気になります。きっと素敵なものになっていると思いますので、好きになっていただけたら嬉しいです。今後とも『凪がれ星』という作品を応援してくださると幸いです。よろしくお願い致します。