溺愛スリーピングボイス

土岐さん：岩崎さんの素直な優しさとか誠実さとか、長男っぽさとかがとてもお芝居に乗っていて、すごくイメージしやすい収録でした。なかなか主役をやることが少ないと仰っていましたけど、すごく主人公で、真ん中にいて、僕の演じている慧くんのことを優しくフォローして支えてくれていたなと思いました。とても楽しかったです。

土岐さん：嫌いな声がない。
岩崎さん：確かに。どんな声でも色んなイメージを持てるような気がする。
土岐さん：この声だったらこういう役がハマりそうだなって考えるのは、このお仕事をしている人ならありますよね。
岩崎さん：あります。
土岐さん：事務所の後輩だったら、こういう役が似合いそうだなぁとか。だから嫌いな声がなくて、喋っている声が全部好きなんだと思います。
岩崎さん：自分も声フェチなところあります。
土岐さん：音が好きじゃないと、絶対このお仕事やろうと思わないじゃないですか。だから好きな声って訊かれたら自分の声って答えるのが一番いいんじゃないでしょうか。
岩崎さん：自分の声好き派ですか？
土岐さん：専門学校で「自分の声好き？」って訊かれた時、全員「好きじゃない」って言ったんですけど、「自分の好きじゃない声をみんなに届けるの？」「自分の声を自分が一番理解していなくてどうするの？」と言う先生がいらっしゃって。
岩崎さん：素晴らしい教えですね。
土岐さん：自分の声を一番好きなのは自分であるべき、ってその先生から教えてもらったから、自分の声を好きでいようという覚悟を（笑）
岩崎さん：（笑）。自分の声を自分で聴くとむず痒いものはまだちょっと残っているんですけどね（笑）
土岐さん：それはそう。恥ずかしさは捨て切れない。

土岐さん：（茶野）先生はされたい方な気がする。
岩崎さん：（茶野先生が）「バレた！」みたいな顔してる（笑）。でも両方ありますよね、されたいのもあるし、したいのもあるし。自分は好きなものに対しての愛が溢れちゃうんで……。
土岐さん：へ～。
岩崎さん：永遠にぶつけたいな、っていうような。
土岐さん：人生で熱いとか、暑苦しいって言われることがちょっと多そう。
岩崎さん：ちょっとじゃないですね（笑）
土岐さん：（笑）。岩崎さんとは今日以外にも朗読劇を何度か一緒にやらせてもらったり、アニメでも一緒ですけど、いい意味での距離の近さとか、素直に気持ちを出してくれるのがすごくやりやすいというかで、僕は好きなタイプです。逆に僕は距離感を探っちゃうタイプ。
岩崎さん：そうなんですね。
土岐さん：仲良くなるとずっとべったりでもいいんですけど、そこまでがなかなか行けないタイプだから、岩崎さんのように近づいて来てくださると気が楽というか、やりやすいなって思います。溺愛したいけど、すぐにはできない慎重派タイプかもしれないですね。
岩崎さん：やっぱり距離感は探っちゃいますよね。
土岐さん：はい。嫌いなところを探さないタイプだから、たぶん溺愛できるし、慧くんと秀一くんの距離感はいいなと思っています。お互いに溺愛なんだけれど、それがWin-Winでいいところにハマっている。ハマっていないと「なんか重い」って言われてしまうんだろうな、という感じで。
岩崎さん：でもお話の中で、お互いに絶対そうじゃなきゃダメだっていうものでもなくなってきた感はありました。
土岐さん：最後は大人な関係になりましたよね。

土岐さん：ここまで読んでくださってありがとうございます。今の時代、もしかしたら本当にあるんじゃないか、と思わせてくれるエピソードがたくさんあって、それがまず面白いなと思いました。登場人物達がみんな、好きだなって思える子ばっかりです。人のことを思いやれるし、自分のことを出そうとして、でちょっと上手くできないところもあって、そんな応援したくなるような子達がもれなく幸せになれる物語になっています。ちょっとずつちょっとずつ幸せになっていく彼らの世界観を僕と岩崎さんと、他のみんなで全力でお芝居して表現させていただいたつもりです。このインタビューを通して興味を持ってくださった方、幸せが好きという方であれば絶対に損をさせない内容になっていますので、ぜひぜひお手に取って聴いていただきたいなと思っております。「溺愛」という言葉が本当にぴったりなお話です。