オフステージラブサイド
中崎智也役 鈴木崚汰さん
遠藤圭輔役 熊谷健太郎さん
左から:中崎智也役 鈴木崚汰さん、遠藤圭輔役 熊谷健太郎さん
――収録のご感想
鈴木さん:楽しかったです。僕の中でもあまりやることのない役柄だったので、チャレンジ的な意味でもすごくやりがいがありましたし、智也は感情の振れ幅が大きいキャラで、でもコメディには振り切らず可愛げを残しつつの匙加減が難しい役だったなと思いました。
熊谷さん:気がつけば出会ってからの年数が10年に迫ってきている崚汰と、こうしてまた久々にゆっくり一対一でお芝居できたのが嬉しかったです。役者さんとして、声優さんとしても尊敬しているし信頼もしている方なので、なんの心配もなく現場に来ました。
鈴木さん:いやいや(笑)
熊谷さん:今回僕が任せていただいたケイは表面的な冷たさと内に秘めた感情の動きがあって、その内面をどこまで表に出していくのか、どこまで秘めていくのか、そのバランスがすごく繊細で、そこは自分でも苦戦しました。智也くんがガッときてくれるのに対して、なかなかケイは応えてあげない。リズムよく掛け合いする人物じゃなかったから、お芝居の面でも崚汰に引っ張ってもらいながら、楽しく濃い時間を過ごすことができました。
――智也のように「変わりたい」と思ったことは?
熊谷さん:今はもうなくなってきましたけど、学生時代は色んなことに対して思っていました。学生の頃サッカーをやっていて怪我が多かったので、「なんで俺はこんなに怪我ばっかりなんだろう……」みたいな。サッカー選手を夢見ていた時期もあったから、最初に変わりたいと思ったというか、この事実をなくしたいという感情を抱いたのはその、小学生か中学生の頃でした。
鈴木さん:僕もその頃ですね。結構親が厳しくてマッチョな教育を受けてきたから、親を変えたいと思うくらいには追い込まれていた(笑)
熊谷さん:なるほどね(笑)。環境が変わってしまえばいいのに。
鈴木さん:そうです。環境ごと変われたらいいのになぁと思っていた時期もあるけど、今となっては母大好きだし、かけがえのない存在になったので、そこは自分が経験と共に成長できた部分です。最近は変わりたいと思うことも減ってきたけれど、でもまあやっぱり何かになりたいからこの仕事をやっているところもあるので、そういう意味ではずっと変わり続けようとはしているんじゃないですかね。
熊谷さん:確かに。自分以外の何者かになりたいが原点かもね。
鈴木さん:そう思います。
熊谷さん:そう思ったから、僕らはこの仕事をしています。
――これがあると元気が出る、頑張れるというものは?
熊谷さん:プロレスですね。
鈴木さん:熊さんはプロレス好きですもんね。
熊谷さん:心のエナジードリンクですね。
鈴木さん:おお!
熊谷さん:ただ、プロレスってストーリーだったり人間模様だったりがめちゃくちゃ濃い分、摂取しすぎたり摂取するタイミングをミスると響くんですよ、後に。感情がすごく揺り動かされるから。この前アメリカで大きな大会があって、とある選手の以前のストーリーとかも追っていて、それを仕事に行く前に見ていたら入場の段階で泣けてきて、号泣しちゃって(笑)
鈴木さん:(笑)
熊谷さん:このコンディションで仕事に行くものじゃないな、というのはありました。
鈴木さん:そこまで。
熊谷さん:泣けるね。
鈴木さん:プロレスってそうなんですね。
熊谷さん:好きだからこそね、余計に。
鈴木さん:僕は最近はヴィンテージかな。
熊谷さん:アイテム?
鈴木さん:ヴィンテージの服に興味を持ったのが去年の11月くらいで。
熊谷さん:結構最近なんだ。
鈴木さん:そうなんですよ。割と急ピッチで揃えました。師匠がいて、その人に教えてもらいながらですけど。全ての服の原点というか、今有名なブランドさん達がサンプリングして作っているものの根源がヴィンテージアイテム。特にMADE IN USA、アメリカの商品がすごくロマンがありますね。
熊谷さん:デニムなんて、働く男達の反骨精神の塊みたいなものだもんね。
鈴木さん:元々炭鉱を掘る時に使っていた作業着ですから。っていう服の歴史とかバックボーンもすごく深くて。100年前のアイテムがキレイな状態であるってすごいですよね。
熊谷さん:現存していて、それを着られるわけだもんね。
鈴木さん:そうですよ。1920年のベストがめちゃくちゃキレイに残っていて、僕はそれを着られて、最高ですね。
熊谷さん:104年前。それはアガるね。
鈴木さん:アガる。
熊谷さん:奥が深い。
――ステージに立つのは緊張しますか? それともテンションが上がりますか?
熊谷さん:いやー、もう吐きそうですよ。
鈴木さん:(笑)。めっちゃ緊張します?
熊谷さん:うん。この仕事を始めた頃とか目指していた頃は、自分が何万人の前に立たせてもらえる機会があるなんて思っていなかったのに、蓋を開けてみたら、ありがたいことにこういう環境をいただけて。元々自分に縁がないものだと思っていたから、未だに終わった瞬間、お腹が痛いです。
鈴木さん:へ~。
熊谷さん:ステージに出る前が一番手が冷たくて、終わった瞬間が一番胃が痛い。
鈴木さん:僕は楽しんじゃえます。ステージに出ちゃえばもう大丈夫かな。それまでの準備とか、ステージに立つまでの過程が濃ければ濃いほど楽しいですね。逆にもうちょっと努力できたなとかがあると、緊張しちゃうかもしれない。
熊谷さん:なんかこう足りないんじゃないか、みたいな不安があると緊張する?
鈴木さん:そうですね。自分の中で納得できるくらい準備ができているものに関しては、すごく楽しめるかな。
熊谷さん:見習いたい。
鈴木さん:(笑)
――発売を待っている方へのメッセージ
鈴木さん:ケイと出会った智也が、そのケイの一言によって大きく人生が変わるという素敵な原作でした。智也のお姉さんのメイクも勿論きっかけではあれど、更に背中を押したのはケイの言葉で、その結果智也が成長していく序盤の過程も面白くて。そこからまたひょんなことでケイと一緒にいることになって、そこでも「自分はやっぱりこの仕事向いてないだろうな」とか、実際に僕らも思うことがあるし、誰でも思うようなことを智也が思った時に、またケイが背中を押してくれてというところが、すごく温かい気持ちになれました。この作品を我々の声を通したドラマCDでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
熊谷さん:収録に当たり原作を読ませていただいた時に、ケイさんはなかなかバックボーン的なところが見えてこない、わからない部分が多かったから、想像する楽しみがすごくありました。鉄面皮のような印象を持たれがちな人なのかもしれないですけど、アイドルとして誰かの前に立つ智也をボディガードとして警護するケイさんではない、素の部分では人間臭さもあって、そのギャップを楽しませていただきました。彼が発する言葉であったり、ケイさんが智也に言われた言葉に対してどう心を動かしていくのか、それを自分がどう色を乗せてアウトプットするのかを、智也風に言うなら「妄想」しながら演じました。智也役の崚汰をはじめ、INCITEの皆さんもすごく魅力的なキャストが揃っています。個人的には(一緒に収録できなかった)ストーカー女子が、ディレクターさんによるとめちゃくちゃ激しかったそうなので聴くのが楽しみです。原作もドラマCDも、何度も楽しんでいただけたら我々は幸いです。原作、ドラマCDともによろしくお願い致します。