ゆらめく秋の恋ごころ
五十嵐 樹役 坂田翔吾さん
志田 諒役 鈴木崚汰さん
左から:五十嵐 樹役 坂田将吾さん、志田 諒役 鈴木崚汰さん
――収録のご感想
坂田さん:五十嵐の臆病な部分や、受け入れてもらえるかわからない不安な気持ちを大事に演じさせていただきました。お話の最初の方にあった、志田のキラキラしている部分への劣等感、住む世界が違うと感じるところはすごく理解できましたし、本当に楽しい収録でした。
鈴木さん:五十嵐の写真を見たことが、志田にとっては世界が変わるような衝撃的な出来事になったように、ほんの一つのきっかけで人生が変わるのは、共感できる人が多いんじゃないかなと思います。自分が生きていく中で、人生を変えてくれるような出来事は意外と色んなところに転がっているんだろうなという気づきも得られた作品でした。
――五十嵐についてのご感想
坂田さん:五十嵐が歳とともに少しずつ変化していって、臆病な部分を隠すようになって、最後は自分と志田に嘘をつきながらも愛してもらう部分がエモいなと思いました。でも志田は全部それをわかっている。
鈴木さん:そう! 志田目線だと後からネタばらしみたいな感じで、昔から俺のことが気になっていたり、好きだったことはわかってたって言うじゃない。だから、それをわかってるんだったら自分から行けばいいじゃん! って。
坂田さん:はい。
鈴木さん:けど志田も同じように不器用な部分があるから、お互いにそこは歩み寄れないよねというところで、ふたりは根っこでは似てるんじゃないかなって思います。
坂田さん:違うようでいて、似ている。
鈴木さん:志田はすごくキラキラしていて余裕があるように見えるけど、志田も志田で関係を壊さないようにとか色々考えてる。
坂田さん:踏み出せないですよね、こういうのって。五十嵐はちょっとひねくれている部分もあったりして、そこもいいなぁと思いました。
――志田についてのご感想
鈴木さん:五十嵐は進路の話だったり、結構核心をつくようなところがあるから、それに志田が影響されているのも面白いなと思いました。基本的には余裕があって大人っぽく見えるけれど、実は……? というキャラクターですね。
坂田さん:志田はキラキラしていて、気遣いができて、それでいて五十嵐からすると何を考えているのかわからない。わからないというより、五十嵐は理解するのが怖かったんだろうな、と。自分のことなんかきっと見ていないだろうから、そこを深掘りすると自分が傷つくことになると考えていたんじゃないかなと思います。
鈴木さん:志田は素直に言ってるんだけどね。
坂田さん:そうなんですよ。
鈴木さん:可愛いとか好きとかはストレートに言うくせに。
坂田さん:そう! なのに核心的なことには踏み出してくれないんですよね、志田くん。だから五十嵐もそれを信じられない。
鈴木さん:でも高校時代の、クラスメイト達のちょっとわいわいした空気に押されている五十嵐を見て、「オレ今五十嵐と大事な話してんだから」って言ってあげる気遣いのできる志田は素敵だと思いました。
坂田さん:すごいですよね。モデルの子に対する気遣いも。逆に五十嵐が気づけ! というところではある(笑)
鈴木さん:ね(笑)
坂田さん:写真に集中しちゃってたから……。
鈴木さん:そういうところ、芸術家っぽい。
坂田さん:確かに。
――志田が五十嵐の言葉で進路を決めたように、自分が動き出すきっかけや後押しになった誰かの言葉はありますか?
坂田さん:もしかしたらあったのかもしれないけど、だいたい自分で決めてきたという感じが強いですね(笑)
鈴木さん:(笑)
坂田さん:親も、そもそも僕が毎回「これしかやりたくないです!」って顔をしてやりたいことを言うから、「まあ好きなことをすればいいよ」みたいな感じで。(養成所に通っていた頃は)高校の時の友達とか、演劇部の先輩後輩に「カナダ留学している」と嘘をついていました(笑)
鈴木さん:自分の動向を隠していたんですか?(笑)
坂田さん:自分から言うのではなく、ある程度ちゃんと実現して、世間から流れてきた情報で知ってもらうのが一番いいだろうなと思っていたので。失敗した時に恥ずかしいというのもあって(笑)。だから応援してもらったのは親くらいです。経済的にも応援してもらいました。
鈴木さん:中学3年生の時の国語の音読で先生に「あ、なんかいい声だね」と言われたことは、その後高校で放送部に入ろうと思ったきっかけなのかもしれません。でもアニメが好きで声優の真似事をしたいと思っただけかもしれない(笑)
坂田さん:色々混ざって、みたいな。
鈴木さん:そうそう。高校3年生で進路の話が出てくる頃、もう僕は声優活動を始めていて、放送部の顧問の先生に「声優の仕事一本で頑張ります」と言ったら「いやいや、もうちょっと大学行って、色んな世界を見るのもいいんじゃないか」と言われて、それはめっちゃ無視しました(笑)
坂田さん:みんなとりあえず「大学行け」は言うんですよね。
鈴木さん:でも今は行っても良かったかな、もうちょっと色んな経験と知識があっても良かったかなと思うから、素直に人の言うことを聞くのは有りですね。
――春夏秋とシリーズになっている今作にちなんで、好きな季節は?
坂田さん:シリーズだったんだ。ネームドキャラだから仲嶺は絶対別のところで国春との絆を繋いでいるんだろうなとは想像してたんですけど……。
鈴木さん:(『ゆらめく秋の恋ごころ』では)語られてないもんね。
――琉夏と国春が「夏」で、そこで仕事の先輩として出てきたのが五十嵐と志田でした。
坂田さん:僕らの方がスピンオフ(笑)
鈴木さん:(笑)。僕はギラついた感じとかうだるような暑さが意外と好きで、ずっと好きな季節は夏だったんですけど、最近は秋。もしくは冬。重ね着が楽しいから。夏はすぐ1枚になっちゃうから飽きるけど、冬は色々試行錯誤できるので楽しいですね。
坂田さん:そこも志田っぽいですね。
鈴木さん:でもスタイリストは無理だね。
坂田さん:無理か(笑)。僕は昔から冬です。空気が吸いやすいのも、夏みたいに虫がいないのも好きですし、あとは子供の頃の記憶が強いのかもしれません。誕生日も1月で、冬が一番プレゼントをもらえたり、お金をもらえる時期でした。
鈴木さん:クリスマスから始まり。
坂田さん:正月でお年玉をもらって(笑)。で、誕生日も。だいたい一緒くたにされるんですけど(笑)
鈴木さん:わかる。僕も12月だから。クリスマスと誕生日が近いから一緒にして、おっきいのをドン! というのはあったかな。
坂田さん:だから今でも冬が一番好きかもしれないです。
――発売を待っている方へのメッセージ
坂田さん:切なさだったり温かさだったり、建前と本音が上手くいかないコミュニケーションだったりが詰まっている、リアルなお話だなと思いながら読ませていただきました。そこがこの作品の素敵なところだとも思います。それが上手く音声で表現できていたら幸いでございます。たくさん聴いていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。
鈴木さん:五十嵐と志田の大恋愛をドラマCDという形で声を当てることができて、とても楽しかったです。大人のストーリーが進んでいく中に回想がちょっと挟まって、過去にこういうことがあったよね、ではなく、時系列が分かれていて、それが1冊の中に凝縮されているから濃密で読み応えがありました。僕も原作の中に入り込めた感覚があったので、それを音声で皆さんと一緒に楽しむことができるのが嬉しいなと思います。ぜひたくさん聴いていただけたら幸いです。