Interview

インタビュー

ワンナイト・トゥルー・スタンド

白石光喜役 笠間 淳さん 九条カケル役 水中雅章さん
左から:白石光喜役 笠間 淳さん、九条カケル役 水中雅章さん
――収録のご感想
笠間さん:本当に真っ直ぐに生きてきたザ・好青年の白石光喜くんを、どれくらい崩して、どれくらい沼に入っていかせるか収録前は少し悩みました。収録が始まってみると、結構深いところまで堕ちていい感じだったので、ずっと真面目に生きてきた人間が初めて味わった甘い蜜のような雰囲気を作らせていただきました。真面目な人だからこそ、沼へのハマり方、堕ちて行くスピードはすごかったです。一人の人間が快楽に堕ちて行く様を上手く表現できればと思って演じていたので、聴いている方々もそれを感じていただければありがたいです。巻末フリートークでも言いましたけれど、「令和に爆誕したドMポリス」ですからね。
水中さん:(笑)
笠間さん:光喜くんはすごい役回りをいただいているなという気がして(笑)。令和に爆誕したドMポリスここにあり! 僕も表現をする側として大変な役割をいただいたなと思い、ある意味プレッシャーでもありました(笑)。無事に終われて何よりでございます。
水中さん:僕はそんなドMポリスをちゃんと堕とさなければいけないというのと、声で感じさせるというのが、役者としてすごく試されているなと。光喜くんも堕とさなきゃいけないんですが、聴いている人へも意識してそれを出さないといけない役回りだったのかなと思うんですよね。なのでこの堕とすところと、飄々としていてちょっとドSだなくらいのところとの二面性や、弄ぶような雰囲気を意識して演じていました。飄々とした役は今まであまりやったことがなかったので、すごく楽しい役をいただけたと思っています。演じながら、「もっとこうしたらよかった」「ああすればよかった」みたいなところが出てきて、全部収録が終わった後、最初の1ページだけやり直させてもらったりもしました。とてもいい経験になりましたね。
――相手キャラクターについてのご感想
笠間さん:水中くんも言っていましたけど、(九条を演じるのは)大変だっただろうなって。こういう仕事をさせていただいていると、「声優さんだから声いいんですよね?」って言われた時が一番プレッシャーを感じる。
水中さん:(笑)
笠間さん:つい「(低く)ああ、はい。そうですよ」みたいに声を作っちゃう(笑)
水中さん:そこなんですよ、本当に! だから堕とす時に強調しすぎちゃうと、「わざと作ってるじゃん」ってなって、冷められちゃう。そこの意図を隠すのが大変でしたね。
笠間さん:作中で光喜くんも言っていましたけど、耳に残る声っていうのが僕ら声優は一番欲しい声なんですよ。アニメやゲームで聴いた人の耳に残って、「今の声、素敵だな」って思ってもらえる声って、「いい声」「いい声じゃない」というものとは別のところの話なので。人からの評価以上に自分の声を磨かなきゃいけないとか、誰が喋っているのかをわかるようにしなきゃいけないとか、聴いている人の耳に残って、琴線に触れる声でありたいとたぶんみんな思っているので、格好よく喋るとか、いい声を出すことを求められるのとはまた違ったプレッシャーが確実にあったと思います。この役はいい声を出そうとしたら成立する役でもない。
水中さん:はい。
笠間さん:すいちゅーを褒めてやって下さい。
水中さん:星5レビューで届けて下さい(笑)
笠間さん:(笑)
水中さん:個人的には相手が笠間さんということもあって、余計に(笑)。僕は笠間さんを、素でいい声、耳に残る声だと思っているから、「ああ、ちょっともうここで負けちゃう」(笑)
笠間さん:いやいやいや(笑)
水中さん:勝ち負けがあるものではないけれど、役の中で本来の立場と逆転して聴こえるようになるのは一番嫌だなと思っていました。でも声はどうにかできるものではないので……。
笠間さん:ギフトだからね。
水中さん:そう! だから気持ちだけでもそこはいいバランスになるように願いながら演じていました。逆に光喜さんは聴いていてすごく公務員だな! と思いました。お巡りさん。このお巡りさんとしての軸がしっかりしているから、堕ちて行ったり快楽に溺れていく姿が「あ、いいな」「可愛いな」と感じたり、魅力的に映るんですよね。そこの軸の部分が笠間さんの声にすごく乗っていたから、こっちも演じていてどんどん楽しくなりました。どんな声音で堕としてやろうかと考えたり(笑)。こんな意識にさせられたくらい、すごく可愛い光喜くんだったなと全部終わった今思います。
笠間さん:(可愛く)いやだぁ♥
水中さん:ん~、可愛い♥
笠間さん:(笑)
――会ってみたい、話をしてみたい職業の人は?
笠間さん:今ぱっと思い浮かんだのは預言者。
水中さん:ええ!? 職業預言者? 占い師とか?
笠間さん:占い師は知り合いにいるしなと思って。世界には予言を生業にしている、それで衆目も集めていらっしゃる方々もいるので、そういった預言者の方とは会ってみたいと思います。楽しそうじゃない?
水中さん:楽しそう。予言ってだいたい世界規模の大きなことですもんね。
笠間さん:酒のみながらポロっと「実は来年世界が滅ぶ」とか言われたら……。
水中さん:ええええーっ!
笠間さん:えーっ! てなるよね。
水中さん:なんでそんな余裕なんですかって聞きたくなる。
笠間さん:だから預言者。
水中さん:僕は怪談、ホラーが好きなので、そういう経験談を聞いてみたい。「こういうところは近づかない方がいいですよ」とか。
笠間さん:怪談師さんとかでではなく?
水中さん:ではなく、実際に経験している人。霊媒師さんになるのかな?
笠間さん:拝み屋さんみたいな感じか。
水中さん:自分とはかけ離れ過ぎていて、どんな世界が見えているんだろう、とか。
笠間さん:確かに。拝み屋さんとは会う機会ない。心霊系だったらイタコさんとかは会おうと思えば会えるかもしれないけど。
水中さん:我々が見ている世界とは違うと思うんですよね。「あそこにいますよ」って何もないところを指されて、透けてるんですか? とか聞いてみたいです。演技に活かせるかはわからないですけど(笑)
笠間さん:(笑)
水中さん:スタジオは「出る」と言われているところもありますよね。風がないのに動いているとか。
笠間さん:あるね。あとはずっとマイクにノイズが乗り続ける、みたいな。僕は通勤で車に乗るんですけど、車に付いている人や物が近くに来たら鳴るセンサーが、何もない空間なのに鳴ることがあるんですよ。
水中さん:怖っ。
笠間さん:その時は「あ、いるんだな」って思います。
水中さん:楽しいですね。自分が人生を全うした時に、今度は自分がそっち側になるかもしれない。
笠間さん:できればちゃんと成仏させていただきたいです(笑)
水中さん:もちろん、それはそうですね(笑)
――発売を待っている方へのメッセージ
笠間さん:この作品がお好きでCDの発売を待っていらっしゃる方も、CDを聴いてコミックスを手に取られる方もいらっしゃると思います。この作品の、一人の真面目な男が沼にハマってしまう、そしてその沼にハメるのが僕らの職業である声優というのがすごく新しい感じがしました。「声優さんに耳元で囁かれたら堕ちるよ」という方々がこのドラマCDを手に取ることもあるかと思うので、光喜くんの反応とご自分の耳を照らし合わせながら聴いていただくのも面白いのかな思います。特に水中くんのファンの方は「この声で言われたらドMポリスも堕ちるわ」と思っていただけるんじゃないかなって。
水中さん:「ドMポリスも爆誕するわ」って(笑)
笠間さん:僕も微力ながらドMポリスとして協力させていただきました。
水中さん:微力じゃないです! 一番! 一番でっかいですよ!
笠間さん:ぜひ楽しんでいただければなと思います。
水中さん:立派なコメントだな……。こんなに言葉が出てこない……。
笠間さん:水中くんはコメントがちょっと苦手らしい(笑)
水中さん:本当に文字が一つも頭に浮かばないです(笑)。でもこの作品はとても楽しいので! 声優と警察官なんて普段だったら出会うこともないじゃないですか。そんな人達が出会ったらこういうことが起こるかも、こんなことができちゃうかも、というシチュエーションを想像する楽しみみたいな部分もこの作品にはあると思うんですよね。僕が今回演じさせてもらったドSの九条くんが、声優という職業の武器を使って白石くんをどんどん堕として行くのが物語の根幹なので、そこを楽しんで欲しいなと思います。ドラマCDを聴きながら漫画も読み進めていくというのは定番なんでしょうか? CDを2、3回聴いた後は、コミックスと見比べてながら聴いていただいて「こういう表情だからこうしたんだ」「ここのコマに息遣いを入れているんだ」とか、色んな楽しみ方ができると思いました。
笠間さん:最後に一点だけ。声優としての立場で九条くんを見た時にちょっと思ったことがあるんですよ。現場に行くのにタクシーを使っている。相当売れっ子です。
水中さん:めっちゃ売れっ子ですね。
笠間さん:電車に乗ってガタンゴトンと揺られながら、イヤホンつけた状態で「あいつ……」って言ってるんじゃないんだって。タクシーに乗って現場。彼は売れています。
水中さん:僕、あのシーンは気をつけたんですよ。九条くんはイラつきながらタクシーに乗ったじゃないですか。でもタクシーの人にはイラついた声音を出しませんでした。
笠間さん:偉い。
水中さん:「こいつ態度悪かったよ」って書かれないように。
笠間さん:そういうのは大事だからね。「あの声、あのアニメの主役やってる奴だ。もう酷かった」「愛想が悪い」ってSNSに書かれちゃうから。
水中さん:これを読まずに気づいた人がいたら天才ですね。
笠間さん:面白いです、こういう細かい部分を見ていると。流石売れっ子。
水中さん:売れっ子になると、移動にも気を遣うんですね。
  • ワンナイト・トゥルー・スタンド
  • 2025.06.25 release
  • CRWS-0105 / ¥3,300+tax
    • おまゆ
    • 笠間 淳 水中雅章