めぐみとつぐみ2
山田つぐみ役 松岡禎丞さん
九重 恵役 小野友樹さん
左から:九重 恵役 小野友樹さん、山田つぐみ役 松岡禎丞さん
――収録のご感想
小野さん:続編のお話をいただいた時、『めぐみとつぐみ』のタイトルから「(よし)つぐがつぐ(み)のあれだ! 2が来た!」と一発でピンと来ました。芝居のやり取りは役者さんそれぞれに色んな形があるんですけど、つぐは特にフリートークでも「あの時こうでしたね、友樹さん」と話してくれるし、僕自身もそういう会話をしたいタイプということもあって、一緒の温度感を持ってやれる仲間だと感じています。なのでフリートークも含めて今日の収録をすごく楽しみにしていました。結果、思っていた以上に楽しい収録でございました。
松岡さん:続きはどうなるのかなと気になっていたので、事務所からスケジュールをいただいて「あっ! 続きをやるんだ!」と思いました。原作を3巻まで読んで、友樹さんはどういう風にやるんだろう、どんなお芝居が見られるんだろう、どんな繊細な感情で演じるんだろうという気持ちでいっぱいで現場に来たら、前回の収録が一昨日のことのように思い出され……。
小野さん:またまた(笑)。何年前でしたっけ?
――2年前くらいです。
松岡さん:てっきり1年くらいかと思っていました。僕はBLCDだと線の細い役を演じることが多くて、つぐみは真逆ということもあって僕的にも挑戦でもある作品なので、前回どういう風にやればいいんだろうと考えていた感覚も思い出しつつやらせていただきました。テストが始まるまではドキドキだったのですが、始まって、友樹さんと掛け合いさせていただくと「あー! 来た!」みたいな感じで前回の空気感が降臨しました。本当はもっとやりたい気持ちもあったのに、つつがなく終わりました。……つつがなくの意味合ってますか?
小野さん:滞りなくの方が合ってるかな(笑)
松岡さん:(笑)
――『めぐみとつぐみ』の好きなところは?
小野さん:フリートークでも話した通りになっちゃうんですけど、(よし)つぐがつぐ(み)すぎるところです。素のつぐは穏やかで、優しいトーンで話してくれる人なのに、なぜか急にキレるみたいなイメージが嵌まるんですよね。イメージですよ(笑)
松岡さん:(笑)
小野さん:普段キレ慣れていない人がキレるのって厳しいじゃないですか。でもつぐの場合、実際にそういうところを見てるわけじゃないのに「あるある!」って感じがして。つぐみの不器用な感じや、言葉を一生懸命に紡いでいく雰囲気も、イメージの中のつぐとすごく合う感覚があって、つぐみ=つぐのキャラクター性が僕の中で唯一無二の嵌まり方をしています。つぐみからちょっとでもこなれた感じが出ちゃうと、その時点で作品としてブレてしまうと思うんですけど、つぐは違和感なく演じられる。そこがこの作品の柱だと思うので、つぐがつぐみにキャスティングしてもらえたことが、この作品のすごいところ、好きなところだなと感じています。
松岡さん:1巻の時も思ったのですが、この二人はある種の不器用同士というか、普通に考えたら接点があまりないじゃないですか。でも物語の流れであったり、感情の動きであったりの中でどんどん繋がっていって。そんなこの二人だからこそ出る面白さがあるんだろうなとも思いますし、お芝居をしていてもすごく楽しいです。これは恵が友樹さんだからというところもあります。友樹さんの恵は、全部クッションみたいな感じで包み込んでくれるんですよね。(恵とつぐみの)二人のやり取りは、最初はバチバチでしたが、後になってみればお互いの良いところ、悪いところが磁石のようにくっつき合っていたので、本当は険悪なものではなく、ワンちゃんとワンちゃんがじゃれ合って、途中でケンカし始めるみたいなものなんだと思います。見ていて微笑ましい。本気で噛んでこないし。
小野さん:たまに鉄パイプは出てきますけどね(笑)
松岡さん:(笑)。登場人物全員、本当に面白い作品だと思います。
――1巻に続き2巻でもあちこちでケンカをしているつぐみ。子供の頃、派手なケンカをした思い出はありますか?
小野さん:中学の時の球技大会のバスケで、僕らのクラスはスポーツ自慢が集まっていたから、結構勝ち上がっていたんですよ。レクリエーションの範囲ではあるけど、マジになる人はマジになる感じでやっている大会だったから、準々決勝辺りから熱が入り始めて、ちょっとラフプレイが目立つようになってきたんですね(笑)。僕はサッカー部でスポーツマンシップが軸にある状態でのスポーツ頑張る派だったんで、そこには加担しなかったんですけど、ちゃんとやっている僕にまで体当たりとかもあって。最終的に僕と相手がボールをホールドした時、相手が僕の腹を蹴って離そうとするんですよ。普通は両方がホールドすると審判が止めてジャンプボールで仕切り直しさせるのに、止めずにそのまま続行されて。そんな中、僕はフェアプレイに徹して、レイアップシュートでちゃんと勝ちました(笑)
松岡さん:小学校5年生くらいだったと思うのですが、弟とかなり派手なケンカをしてボロ泣きさせちゃったんですね。そうしたらいつもは穏やかな父が、「お前何泣かせてんだ!」と僕の部屋に飛び込んできて、腹を蹴られたのを覚えています。
小野さん:腹蹴られ仲間だ(笑)
――作中でたまに出てくる空地。実際に空地で遊んだことはありますか?
松岡さん:空地って、「ここ売ってますよ」って立札あるところですか?
小野さん:そこからか(笑)
――「誰のものかわからないけれど、空いているし自由に出入りできる土地」で。
小野さん:いつからか私有地とか不法侵入みたいな概念で、「入っちゃダメです」とか所有者の立札が立って入れなくなりましたね。そこがまだふわっとしていた時代、昭和後期くらい。
松岡さん:僕の住んでいたところは、空地しかなかったですね。隣の家まで1キロ、町内と町内の間には結構な距離が。
小野さん:その間の土地の扱いはどうなっているんですか?
松岡さん:立ち入り禁止でもなく、誰かが申請すればそこを買い取れるみたいな感じでした。
小野さん:何県?
松岡さん:北海道。平野しかないです。
小野さん:ホームラン飛ばし過ぎて、カミナリ親父が「コラー!」な規模感じゃない(笑)
松岡さん:じゃないです。
小野さん:メジャーリーガーがホームラン打ったって、誰の家にも届かない。
松岡さん:あそこの家まで何メートルあるのかな? みたいな(笑)。空地がテニスコート20面くらい……(笑)
小野さん:桁が違った(笑)。僕も親が転勤族で色んな土地に行ったんですけど、記憶の中で引っかかったのが正に札幌。でも札幌時代に空地だったと思っていたのが、自〇隊の基地だったって気づいて(笑)
松岡さん:(笑)
小野さん:友達の家の隣がフェンスで隔てられた空地で、よくそこで遊んでいたんだけど、思い返せばヘリが停まってたなって。空地改め駐屯地でした(笑)
松岡さん:不法侵入(笑)。子供であれば注意で済みますよね(笑)
小野さん:近所の子供達が招かれて、中の施設で紙芝居とかしてくれてましたね。そんな古き良き時代でした。
――発売を待っている方へのメッセージ
小野さん:皆さんのお声あっての第2巻だと思います。今回は昨今の情勢もあり、つぐとタイマンで収録させていただきました。収録中も、どちらがどうとは言わず、自然と僕が換気の為にスタジオの扉を開け、気づくとつぐが空気清浄機のスイッチを入れてくれているというこのコンビプレイ(笑)
松岡さん:本来であれば年下の僕がドアを開ける立場ですよ(笑)
小野さん:僕がドアに近い位置だったから(笑)。つぐとはこの「餅つきぺったん」※1、阿吽の呼吸が、無理に何かをせずとも芝居もフリートークも、休憩時間の過ごし方まで含めてできている気がして、心地よいです。この心地よさをまた味わいたいので、3巻、3巻が気になるところで終わっているから必然的に4巻も、というところで、ぜひ前回と合わせて今回も楽しんでいただきつつ、応援を引き続きよろしくお願いします。
※1 CD収録のフリートーク参照
松岡さん:第2巻をやらせていただきました。役者陣一同の『めぐみとつぐみ』の現場だからこその空気感が楽しいし、その空気感はフリートークでも感じていただけると思います。皆様も次を聴きたいと思って下さっていると思うので、2巻を何回も聴きながら3巻4巻に備えて下さい。ぜひまたつぐみを演じさせていただけると嬉しいです。ありがとうございました。