バーチャルくんはおさななじみを希う
小野恵太役 小林千晃さん
葵 泰那役 千葉翔也さん
左から:葵 泰那役 千葉翔也さん、小野恵太役 小林千晃さん
――収録のご感想
小林さん:増田さんと広瀬さん、新キャストの千葉さんと一緒に収録できたのがまず嬉しかったですし、その後も入れ替わりで他のキャストの人達とも一緒に録れて、コロナが明けてきたのを感じられる収録でした。休憩時間もキャストさん達とたくさん話すことができたりもして、みんなで和やかに作品作りができる楽しい雰囲気の現場だったなと思います。僕は前作から出させていただいて、その時にキャラクター作りもやったんですが、前作の恵太のふわふわした感情とはまた別の、泰那と一緒にいる時にだけ出る色んなモヤっとした感情とか、シリアスな表情とか、意外と泣くことが多かったりとか、新たな面を引き出してもらえたので、そういう意味でもすごく充実した収録でした。
千葉さん:僕は今回から出演させていただくということで、どういった雰囲気なのか怖々入ったんですけど(笑)
小林さん:(笑)
千葉さん:原作を読ませていただいた時に、この1冊だけで物語の導入から終わりまで感情移入できる作品だったので、まずは新鮮な気持ちを持って演じられたらいいなと思って臨みました。
小林さん:2巻から読んでも全然違和感なくて楽しめる。すごいですよね。
千葉さん:それだけキャラクターの個性や魅力があるから、今日の収録を楽しみにしていました。千晃くんも言っていたように、増田さんと広瀬さんもいてくれて、若い年齢感のキャラクターが揃っているなというのもありましたし、今僕らが住んでいるような街を舞台にしているお話でもあったので、イメージも膨らみやすかったです。とても楽しい収録でした。
――演じたキャラクターについてのご感想
小林さん:前作は晴と一緒に配信をしている時の顔と、晴と二人でいる時のちょっと掴みどころはないけれどすごく柔らかな雰囲気のある部分とというのがメインの表情だったんですが、今作からは泰那と二人きりになると色んな面を見せてくれたので、実はころころと表情が変わる子なんだなという新しい発見もあり、演じ甲斐があるというか、演じていて飽きがこないというのも変な言い方ですけど、そういうキャラクターでした。最初から最後まで、楽しいキャラクターだなと思いながら演じさせていただきました。
千葉さん:原作だと、泰那の方が表情的にはクール寄りで、恵太の方が表情がころころ変わる印象だったんですが、声のお芝居では恵太はまったりしている部分をフィーチャーしていたり、泰那も恵太に会えて嬉しい感じが全面に出ていて、思いの外、笑顔で喋ってよかったりする部分もありました。現場に来て、より泰那像が自分の中でしっくりきて、すごく愛にあふれた子だなと思いながら演じました。
――VTuberになるなら、どんなガワを被りたいですか? 前作のおふたりはちっちゃい子とマスコットキャラでした。
小林さん:成人男性の真逆ですね。いやでも僕もめちゃくちゃバルクのある……。
千葉さん:マッチョ?(笑)
小林さん:マッチョというか筋骨隆々、かなあ。僕はゲームもやるんですけど、自分でキャラメイクできるものは大体2m超のガチムチにするの。
千葉さん:マジ?
小林さん:普段の自分とは全然違う、別の人間としてそのゲームをやりたい。
千葉さん:なるほど。
小林さん:だからVTuberも僕は全くやったことはないですけど、やっぱりバルク盛り盛りですかね。
千葉さん:僕は全く逆で、基本的にゲームをやる時は名前も自分だし、ビジュアルも全部自分に寄せるタイプです。バーチャルの世界で活動するメリットを全部潰してしまうようですけど、いかに自分を美化したかがわかる延長線上で勝負したいなと。
小林さん:Mii作ってたでしょ? あれも?
千葉さん:めっちゃ寄せてたよ。近代になればなる程、ホクロの位置を変えたりとか髪型を寄せたりとか選択肢が増えたんで、そういうのをよくやってますね。
小林さん:キャラメイクが全く逆ですね。
千葉さん:うん。
――反抗期や、親に反発したり家出をした想い出は?
小林さん:家出みたいなものは幼稚園か小1ぐらいに。
千葉さん:あるんだ!
小林さん:家出というレベルではないですけど、土日に家族とケンカして家を出て友達の家に行って、ちょっと帰りたくないな……みたいな感じになって、でもまだ子供だから友達の親が家に電話してくれて、結局うちの親が迎えに来て、みたいな可愛いやつです。中学生とか高校生とか、本気で家出しようと思えばできる時にはもうしなかったですし、僕は長男なので、あんまり反抗期らしい反抗期はなかった気もしますね。自分で言うのもあれですが。
千葉さん:長男として示していかなきゃいけなかったんだ。
小林さん:そうね。兄弟ゲンカとか、親に対して「勝手に部屋入んないでよ!」「掃除しないでよ!」みたいなのはあっても、それ以上のわかりやすい尖った感情は出なかったです。
千葉さん:千晃くんらしいですよね。僕は結構一貫して今の自分みたいな。幼稚園の頃からあまり変わってない。
小林さん:自我が形成されるの早かったね。
千葉さん:めちゃくちゃ早いね。それでいてなんかずっとぼんやりしてたから、中学校ぐらいまではぼんやり生きていた(笑)
小林さん:明確にこだわりがあって、とかじゃないんだ(笑)
千葉さん:そうだね(笑)。すごく狭い地域で暮らしてたんで、家出する先もないというか(笑)
小林さん:行先の見当がつくから家出したところで……なんだ(笑)
千葉さん:親とちょっと口論になってもご飯もしっかり出してくれる家庭で、一度も飯抜きはなかったですね。
小林さん:優しい家庭。
千葉さん:だから寝たら忘れてる感じでした。
小林さん:反抗する理由もないからね。
千葉さん:そうですね。口では母も「じゃあご飯抜き!」とか「出てけば」とか言うけど、プロレスみたいな感じで(笑)
小林さん:夜になったら自然と和解する。
千葉さん:絶対ご飯出てくるし、ちゃんと全部食べるし。
小林さん:いい親子だな。
千葉さん:今でも僕が出ている作品をチェックしてたりもするし、うちはずっと変わらずです。
小林さん:うちもです。
――巻末フリートークの最後で話そうとしていたことは?
小林さん:広瀬さんは、司が今回ほとんど喋っていないから救急隊員B役も振られていて、司もわかりやすく「司!」みたいな感じでがっつり晴と掛け合いしているわけじゃなくて、ピンポイントで店員として出てくるから、ただの店員Bみたいな感じで聴き逃されないようにもっと個性出していこうよ! って勝手に言っていて(笑)
千葉さん:僕達がね(笑)。漫画だと司が描かれていたらすぐわかるけど、音声だけの作品で第一声が「いらっしゃいませ」だったから、何かないといい声の店員さんだな、くらいに納まっちゃいかねない。
小林さん:すぐ恵太のリアクションはあるけどその前に、とか。でも司では出さなかったんですけど、その後の救急隊員Bのテストの時に主人公みたいな芝居をして、「やったな」ってなって(笑)
千葉さん:そうそう(笑)
小林さん:救急隊員なら落ち着いた声でやるとか、なんとなくがあるんですけど。
千葉さん:共通認識がね。
小林さん:めちゃくちゃ焦ってる息多めの「すみません!」だった。
千葉さん:高め(の声)でって言ったら、(広瀬さんが)本当に採用してくれたの。で、しっかりNGになって。
小林さん:本当のダメ出しされてたもんね。「普段から仕事し慣れている感じで。他の救急隊員もいるし、【すみません】にはちょっとどいて下さいっていうニュアンスも必要なので」ってディレクションされて、広瀬さんが「はい……」って。その一連がすごく面白かったと同時に、なんか和みましたね。
千葉さん:めっちゃ助かりました。最初は僕も緊張している部分もあって、裕ちゃんの存在は大きかったですね。
小林さん:ムードメーカーでした。
千葉さん:面白かったです。
小林さん:それがすごく面白かったというのを(フリートークで)言おうとしていました。
千葉さん:裕ちゃんの救急隊員Bもぜひ聴いてやってください。
小林さん:でもCDではちゃんと完成された救急隊員Bだからなあ……。テストの救急隊員B、聴いて欲しいですけどね(笑)
――発売を待っている方へのメッセージ
小林さん:『バーチャルくん』シリーズ第2弾ということで、今回は恵太と泰那の二人のドラマでした。千葉さんが言ってくれたみたいに、この巻から読み始めても、今回のCDから聴き始めてもなんの違和感もなく楽しめるし、「2」と付いているわけではないですが続編としても楽しめる作品になっていると思うので、たくさんの方に聴いていただきたいです。今の広瀬さんの話や、千葉さんの英語も本当に楽しくて、みんなで作品を作っていったなという感じがあるので、これを聴いた皆さんも「あぁ、この現場楽しかったんだろうなぁ」みたいな雰囲気を感じ取っていただけたら幸いです。引き続き応援の程、よろしくお願い致します。
千葉さん:前作をご存じの方にとっては、恵太の探し求めていた相手がどんな人物だったのかというところがすごく大事だなと思いながら演じていました。僕がこれまで声優をやってきて、一番身長が高いキャラクターかもしれないです。
小林さん:183cm。
千葉さん:ほぼ自販機と同じ。
小林さん:大きいね。
千葉さん:大らかな部分だったり、繊細な部分だったり、色々兼ね備えた魅力的な人物だったので、声がついたことで何か新しい発見に繋がったらいいなとも思いますし、恵太も泰那も二人とも可愛らしいなと思っていて、その可愛さを「可愛い」の一言で説明するのが勿体ないくらい色んな表情を見せてくれるので、この二人の関係性を聴いてくれた人それぞれの形容詞で心にしまって欲しいです。とても楽しい収録でした。ありがとうございました。