お願い、そんなに噛まないで 番外編
柳 遥一郎役 堀江 瞬さん 五十嵐 隆役 八代 拓さん
左から:柳 遥一郎役 堀江 瞬さん、五十嵐 隆役 八代 拓さん
――収録のご感想
堀江さん:今回はみんなで収録できたこともあって、より収録が楽しかったです。柳を演じるのはとても久々で、柳と五十嵐さんのふたりの空気を懐かしく感じながら演じていました。
八代さん:みんなと一緒に収録できて嬉しかったです。色んな人達に囲まれて収録するのは新鮮だったし、今回五十嵐は柳くんだけでなく、他の人達にも支えられたり、影響を受けたり、ハッとさせられたりすることもあったから、そういった面でもみんなで収録できて、すごくありがたかったです。
――1巻と2巻で柳と五十嵐のここが変わったなと思うところは?
堀江さん:不器用なところを表に出すようになったこと?
八代さん:五十嵐が?
堀江さん:両方。人間関係の構築において、そういうのをさらけ出すのはできるだけ避けたいじゃないですか。
八代さん:怖いもんね。
堀江さん:嫌われたらどうしよう、とか。でもこのふたりは、色々と乗り越えながらお互いに弱いところ、不完全なところをさらけ出して、そこも好きになっていっているから、より関係性の強さを感じました。柳を通して見る五十嵐の印象は、ちょっと弱いところもある人。完璧だと思っていたけれど完璧じゃないところもあって、その完璧じゃないところも込みで好きだなって。
八代さん:料理もね(笑)
堀江さん:完璧じゃない(笑)。どんだけまずいんでしょうね。
八代さん:すっごく料理できそうなのに(笑)
堀江さん:パスタとかチャチャっと作れそうなのに(笑)
八代さん:柳くんがかっこ良かった。1巻の時より圧倒的に頼もしい印象でした。あとは1巻の時も五十嵐は知らず知らずのうちに柳くんに影響されていたんだろうけれど、今回はそれが増していました。それに向き合っている五十嵐も新鮮だし、そんな五十嵐の手を柳くんが取ってくれるのも、ふたりの関係が続いて深まったからこそなのかなと感じましたね。この顔(コミックスP101)かっこいい。惚れるわ、これは。
堀江さん:(笑)
八代さん:惚れ直す。だから今回「可愛い」をあんまり言っていないのも、一つの変化かなと思います。
堀江さん:逆に五十嵐さんがめっちゃ可愛く見えました。
八代さん:確かに。人間味がより見えた感じがしますね。
――2巻でも噛み癖は直らなかった五十嵐。ご自身の直らない癖は?
八代さん:(噛み癖が)直ったら、タイトルと違っちゃう……(笑)
堀江さん:(笑)
八代さん:(CD巻末フリートークでも)話したマイク前で(相手の)人を見てしまう。
堀江さん:癖なんですね。身に沁みついてしまって……。
八代さん:別にしようと思ってしているわけじゃない。
堀江さん:真っ直ぐ人を見るのと見ないのとでは、芝居が変わるんですか?
八代さん:わかんない。変わらないかも。でも見ていた方が絶対体温がわかる。わかるでしょ?
堀江さん:(顔をそらし)わかるかも……。
八代さん:なんで今こっち見なかったの(笑)
堀江さん:(相手を)見たことないので……。
八代さん:なんか安心するのかな。
堀江さん:でも僕、噛ませ犬ポジションでBLの現場にお邪魔する時に――。
八代さん:噛ませ犬(笑)
堀江さん:絡まれているおふたりの顔とかよく見るんですけど。
八代さん:見てるじゃん!
堀江さん:それはまあ、こっそり(笑)。こっそり見てるんですけど、確かに体温というか湿度を感じます。
八代さん:湿度だとまた意味合いが違うんだよな(笑)。なんだろう、見た方が人の体温を感じる。
堀江さん:素敵ですね、それはとても。
八代さん:堀江くん、キレイな言葉で人をけなすの得意だよね(笑)
堀江さん:けなしてないです(笑)。どこにそんな要素ありました(笑)
八代さん:CDのトークでも喋ってるんですけど、「素敵ですね」って言葉に素敵っていう感情が乗っているようには思えない。
堀江さん:違うんです、普段はマイク前で感情を乗せすぎて……。
――今は抜け殻に……。
堀江さん:抜け殻(笑)
八代さん:そっか、感情は全部作品に置いてきちゃったのか。
堀江さん:そうかもしれないです。
八代さん:やっぱり見ちゃうのは自分の癖な気がする。
――相手が目を閉じていたり、アイコンタクトができないタイプの場合は?
八代さん:それもわかるんですよ。
堀江さん:わかる。
八代さん:その方が作品に入り込めて感情も乗るし。でもBLの話で言うと、キスして口を離す瞬間とかはアイコンタクトまでいかなくても、なんとなく仕草とか雰囲気を感じている人も多いと思うんですよ。直接見ずとも呼吸とかで。
堀江さん:そうですね。
八代さん:だから目を閉じられてしまうと、ちょっと困りますね。堀江くんは何か癖ある?
堀江さん:その延長で言うと……。
八代さん:延長?
堀江さん:延長。
八代さん:なんの延長……?
堀江さん:どうしても目をそらしてしまう癖。
八代さん:(笑)。癖なの?
堀江さん:癖ですかね?
八代さん:それは見られたらそらしちゃうってこと? 見られてなくてもそらしちゃう?
堀江さん:見られてなくても。
八代さん:目が合う可能性をできるだけ避けようと……?
堀江さん:はい。お芝居だけじゃなくて、普段の生活でも結構。
八代さん:普段の生活で誰から目をそらすの(笑)
堀江さん:目というか、心をそらすというか。
八代さん:(笑)
堀江さん:目を合わせているけれど心は違うところに行きがち。
八代さん:そっか~。
堀江さん:デビュー当初はそんなことなかったんですけど、仕事を始めて月日が経てば経つほど「心ってどうやって通わせるんだっけ?」ってなって。収録中も「八代さんがこっち見ながら芝居してる、怖い」って。
八代さん:まあ怖いよね(笑)。お仕事している時は人それぞれで、こうあるべき、なんてものもきっとないし、別にいいと思う。こっちも気にせずやっていたし。「全然こっち見ないな……」とは思ったけど。
堀江さん:やっぱ思ってたんだ。
八代さん:悪い意味じゃなくて(笑)。こっち見ないのもその人の体温で面白いのよ。負けじと合わせてくる人もいれば、全然合わさない人もいて、それが面白くて見ちゃう。でも堀江くんはみんなにどんどん心を開いてくれていると思ってた。
堀江さん:開いてます!
八代さん:いや無理か! 矛盾してるか! さっき仕事し始めてからどんどん心を閉ざしてるって……!(笑)
堀江さん:そうですね。でも意外です。どのようにして、そのようなことを思われるに至ったのか。
八代さん:だって今、目が合ってるじゃん。
堀江さん:目は合わせられるんです。
八代さん:あ、そっか、心か(笑)
堀江さん:(笑)
八代さん:それって、例えば今こうやって喋っていても、話長いなとか、次、何話せばいいかなとか思っているってこと?
堀江さん:人に対しては思わないんですよ。興味もあるし好きだし。ただ、だからこそ心を開いて自分を知られた結果、嫌われたらと不安になっちゃうんだと思います。
八代さん:自己開示がちょっと怖い?
堀江さん:うん。
八代さん:軽い言い方をすると、人から「家に遊びにおいでよ」って言われたら全然「行きます」って言えるけど、「ねえ、堀江くん家行っていい?」って言われたら絶対嫌ですってことだよね。
堀江さん:すごい(拍手)
八代さん:(笑)
堀江さん:それです。
八代さん:わかる。
堀江さん:え?
八代さん:俺もそう。意外かもしれないけど。
堀江さん:いや、そんな感じします。
八代さん:(大爆笑)
堀江さん:八代さんってそんな感じしてました。
八代さん:そっか、人を見てはいるんだもんね。
堀江さん:はい。
八代さん:俺達似てる似てる。
堀江さん:嬉しいです。
八代さん:これを読んでいる人達には、わりと対照的にみられることの方が多そうだから、意外かもしれないですけどね。
堀江さん:この話を聞いて意外だと思う人は多いと思います。八代さんはみんなに平等に優しい。でも本当の心の部分を開いていない。
八代さん:(笑)。心を開くのは怖いんですよね。
堀江さん:でも、その為にこの仕事をしているんです。
八代さん:いいこと言ってまとめた(笑)
――発売を待っている方へのメッセージ
堀江さん:長らくお待たせしました。待望の『お願い、そんなに噛まないで 番外編」。こうして声でこの作品を皆様にお届けできるのが僕もとても嬉しいです。新作をやるのもすごくありがたいし、楽しいことですが、続編というのは前作がたくさんの人に受け入れられて、求められたからできるもので、また同じ作品をやらせていただけるのは言葉にできない喜びがあります。僕達も表現する側として、皆様の気持ちに負けないくらい、声に全ての想いを乗せたつもりです。続編を待っていてくださった皆様に、僕達の想いを受け取っていただければ嬉しいなと思っておあります。よろしくお願いします。
八代さん:続編を楽しみにしてくださっている皆様、本当にありがとうございます。参号ミツル先生の素敵な原作と、応援してくれる皆様のお陰でまた五十嵐を演じることができて、本当に嬉しいです。最初にもちょっと話しましたが、今回の収録では色んな人との関係性が楽しくて。柳くんは言わずもがな、モトさんとチーフの生きてきた経験値が違う人達との話だったり、柳くんとは違う角度で五十嵐と親しい妹ちゃんとの会話だったり、色んなところからいい刺激や影響をもらいながら、色んな人に助けられながら関係を育んでいくのが今回のお話のポイントかなと思うので、その辺りもぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。