フロウフルレメディ 下
羽柴蓮司役 土岐隼一さん
獅子戸 聖役 古川 慎さん
左から:獅子戸 聖役 古川 慎さん、羽柴蓮司役 土岐隼一さん
――収録のご感想
土岐さん:気持ちよくハッピーエンドだったなと思いました。レンくんの言っていることに「あ、これわかる」というのが色々あって、例えば、オーディションや仕事で上手く行かなかった時、マネージャーにすごく丁寧に言葉を選んで「いや、でも良かったと思うよ」って言われると、意外とダメージ受けるんですよね、役者って(笑)
古川さん:(笑)
土岐さん:舞台が上手く行った途端、手のひらをくるっと返すところも(笑)。そういう「わかるな」というシーンがいっぱいあったけれど、結果、獅子戸さんと結ばれて、ここからは幸多からんことをという雰囲気がすごく感じられたから良かったな、なんて思います。
古川さん:まずは下巻も音声化されて嬉しかったです。上巻は途中ということもあり、中途半端な関係で終わっていたので、レンと獅子戸のふたりの物語を完結まで演じられて良かったなと思っています。
土岐さん:本当に良かったですよね。
古川さん:今後、蓮司さんが芸能人としてどんな仕事をしていくのか、それに対して、芸能界とは近いようで実はちょっと違った位置にいる獅子戸はどう蓮司さんと関わっていくのか、色々と想像を膨らませるのも楽しい終わり方でした。
――上下巻を通してお気に入りのシーン、特に聴いて欲しいシーンは?
土岐さん:獅子戸さんの言ってくれる言葉がちょうどいい! 言って欲しい言葉を、言って欲しいタイミングで言ってくれる。なんで廉一郎さんはこの人と別れちゃったんだろうな、って思います。多少束縛されるくらい、いいじゃないですか。そしてそれを慎さんがお芝居で言ってくださるのがめちゃめちゃかっこいい。獅子戸さんは欲しいところに欲しい言葉をくれる方だなというシーンがいっぱいあるので、そこを聴いていただけたらと思います。
古川さん:それはたぶん、獅子戸が余計なことを言わないように相当気をつけているからです(笑)。後方彼氏ヅラ属性を持っているんですよ。
土岐さん:わかる。
古川さん:だからいざ、ちゃんとそういう関係になろうという時に尻込みしちゃうんですね。この人は本当に本当に女々しい(笑)
土岐さん:最初に女々しいから始まってますからね。
古川さん:そうなんですよね。僕も自分を女々しい方だと思うことはありますが、獅子戸は本当にもう少ししっかりしろと思います。でもだから、そんな彼が踏ん切りをつけて蓮司さんのところに駆けつけるシーンが僕は好きです。出演のお話をいただいた時、このシーンを読んで「ああ、この人はちゃんと頑張れる人だな」と感じて、演じたいと思いました。最終的にはヘタレのままだったんですけど(笑)
土岐さん:本当にそうですよね。レンくんが誘い受でよかったねっていう。
古川さん:(笑)
土岐さん:収まるところに収まったふたりです。
――上手く相談ごとができないレン。ご自身は仕事で何かあったら誰に相談しますか?
土岐さん:僕、しないんですよね。マネージャーにもしないです。たぶんマネージャーは相談したら何か返してはくれるんですよ。でもそれはその人の感性でしかないから、それなら自分ができないことをできる人を見習った方が早いかなと思っていて。別に誰かを信用していないとかではなく、僕は何かをそこまで思い詰めるタイプでもないから、相談せずに全然違う業種の人と話して気を紛らわせたりすることの方が多いです。役者さんは自分で解決しちゃう人も多いと思います。
古川さん:人に相談しないのは、役者ならではですよね。それぞれ持っている楽器も違うし、持っている精神構造も違うから、向き合わなければいけない課題も、得意なものも苦手なものも、みんな違う。だから誰に相談しても、そこまでしっくりくる答えはもらえないんです。結局自分で気づかない限り解決しないから、僕もあまり相談はしません。でも愚痴は言います(笑)
土岐さん:(笑)
古川さん:大変だった現場の翌日、仲が良い人にあったら「聞いてくれよ!」って(笑)
土岐さん:話を聞いて欲しいんですよね。同じ現場にいた人達とも「大変だったね」って話したり、ライブ後は「俺達頑張ったね!」って称え合ったり。
古川さん:ライブが近くなると、「もっとリハやりたい」と話したり。
土岐さん:こんな感じで、相談よりもみんなで話すことの方が多いですね。
古川さん:役柄は違っても、作品に対してやらなければいけないことはみんな同じで、時間も平等に流れていくから、同じ作品に関わっている者同士、共感し合えるんだと思います。
――発売を待っている方へのメッセージ
土岐さん:原作を読んでいる方はご存じの通り、上下巻と続いたストーリーが収まるところに収まりました。獅子戸さんの可愛らしくもカッコイイ女々しさと、レンくんの実はガラスのようなハートで、でも強く生きようとするところの掛け合いを楽しんで聴いていただけたらなと思います。原作を読んで感じたことを、全力でお芝居に込めました。それぞれ「ここが好き」というシーンがあると思うんですが、どのシーンもこだわりを持って収録しているので、きっと満足いただける内容になっているのではないかなと思います。お楽しみに。
古川さん:物語を無事完結まで演じることができました。原作があるドラマCDに出演させていただくといつも、本を目で見ていた時とはまた違う情報が得られると感じます。CDでは蓮司さんの小悪魔さ加減を土岐くんがとてもあざとく表現されていました(笑)
土岐さん:(笑)
古川さん:それを聴いて、蓮司さんを魅力的に思う方もたくさんいらっしゃるんじゃないかなと思います。僕の演じたわたわたしながらも頑張る獅子戸が、誰かに勇気を与えられるかもしれない。音声がついて情報が増えたことで、皆さんの中に新しく気づいたもの、楽しめたものがあったら嬉しいなと思っております。CDが発売されたら、原作と合わせてお楽しみください。よろしくお願いします。