Interview

インタビュー

ドラッグレス・セックス 辰見と戌井Ⅱ

辰見役 古川 慎さん 戌井役 江口拓也さん
「ドラッグレス・セックス 辰見と戌井 return」収録写真1
戌井役 江口拓也さん、辰見役 古川 慎さん
――収録のご感想
古川さん:2回に分けて収録させていただいたのですが、そのどちらも内容がぎっしりで濃い収録になりました。江口さんとは色んな現場で一緒にお芝居をさせていただいていますが、今作も面白いセリフのやり取りがあって、この作品ならではの掛け合いができたと思います。
江口さん:収録を2回に分ける大ボリュームの作品はなかなかなくて、割と大変な作業ではあるんですけど、古川くんと二人でできるということで楽しみでした。実際、原作の雰囲気を落とし込むのも、色んな表情があるからやっていて楽しかったです。いい物を作って皆さんにお届けできればなという気持ちで演じていました。
――印象に残ったシーンは?
江口さん:僕は(辰見の)涙のシーンですね。あそこのシーン、めっちゃよかった。辰見が怖いよって言ってくれたところ。小さい頃の小さな背中と今が重なる流れはグッとくるものがあるし、そこでしっかりと受け止めて話を聞いている戌井もすごく頼もしく感じたし、その後の「結婚するか、大学卒業したら」って言われて結局泣いちゃうところも戌井らしくて、逞しい部分と、でも甘えん坊な部分とっていうコントラストがよかったし。辰見とお互いに支え合っているのが出ているなと思ったので、そこが好きですね。
古川さん:「怖えーよ」って、辰見の一生を表しているセリフだと思うんですよね。彼の今までの生い立ちは、この作品独自の設定であるフェロモン症が引き起こした悲劇の内のひとつだと僕は思っていて。辰見と戌井に関しては、一緒に乗り越えようよと誓い合ったところで決着がついていますが、辰見の家庭は父が母に対して「これ以上愛せない」と出て行ってしまい、それ故にどんどん歪んでいったので、今まで不良であるとか、突っ張って生きてきたような、辰見の陰の部分の全てを代弁するような一言が「怖えーよ」だったんじゃないかと思っています。あのセリフは、色んな意味で重たいものがありました。で、その上で僕は辰見の母ちゃんと戌井の会話が好きです。母ちゃんの「やっちまったな」「あんなところを見せてしまった」という後悔もあると思うし、戌井に対して辰見を愛する人間であるという信頼感があるからこそ出てきた言葉もあるんじゃないかな、なんて思ったりもするので。恋愛であったり、親子の愛情であったり、人間は愛情がないと歪んでいくので、愛情を感じられるシーンがたくさんあるのも、この作品の魅力ですよね。
――「十七年目の記念日編」で人生の半分を一緒に過ごしてきた辰見と戌井。人生の半分くらい続けてきたもの、連れ添ってきたものは?
江口さん:僕は声優です。18の時から目指していて今年36なので、ちょうど半分かなっていう感じですね。なんか長いような短いような、あっという間だったな。
古川さん:四半世紀って25年ですもんね。
江口さん:うん。
古川さん:25歳になったらもう四半世紀生きたって考えると、意外と物事のスケールってそんなに大きくないのかもしれないですよ。
江口さん:一瞬よね。瞬きの如く過ぎて行く日々だけど濃密ではあったから、ここからの10年20年もあっという間に過ぎゆくんだろうなってなんとなく思うよね。
古川さん:フィクション作品だと変わらない日々もありますが、現実世界で変わらない日々というのはなかなか想像できないから、そういうところはフィクションチックな恒久的な平和が羨ましいですね。大きな病気もしないし、みたいな(笑)
江口さん:(笑)。少しずつ変化しながら、受け入れながら、歩んでいくんだろうな。
古川さん:そう。しっかり衰えていくし、しっかり老けるし(笑)。僕は東京暮らしが……。
江口さん:もうすぐ半分?
古川さん:あ、ギリなってない! ごめんなさい。そうしたら、親知らずですかね。
江口さん:(笑)
古川さん:随分長いこと連れ添っています。最近痛み出してそろそろ抜こうかなと思っているのですが、抜くとその後の仕事に影響が出るんじゃないかと考えるとなかなか……。
江口さん:(仕事を)飛ばさなきゃいけない。何本抜いた?
古川さん:現役です。みんな。
江口さん:ゼロ。
古川さん:親知らず元気です。
江口さん:俺もそう。
古川さん:マジですか!
江口さん:抜いたことない。
古川さん:一緒に行きます?
江口さん:いや、怖いから行かない。
古川さん:(笑)
江口さん:痛くてもよくない? みたいな。
古川さん:僕もそうなんですよ。
江口さん:なんで親知らずって抜かなきゃいけないんだろうね。痛いからかな。
古川さん:あらぬ方向に伸びて、神経が圧迫されて「痛いっ!」ってなるから。
江口さん:酒飲めば治る。
古川さん:あー……。アルコールによる殺菌というのはあると思うんですけどね……。僕もちょっと痛いなと思ったら、リステリンでどうにかします(笑)
江口さん:なるほどね。
古川さん:(親知らずが)いなくてもいいと思っているので、そのうち何人か脱落する可能性はありますが、今のところ……。
江口さん:連れ添ってる。
古川さん:連れ添ってますね。
――発売を待っている方へのメッセージ
江口さん:今回2枚組ということで、内容の濃いCDになったんじゃないかと思いますし、我々的にも収録2回の超大作ではあるので、やっぱりより多くの人に聴いていただきたいです。作品の中でグッとくるポイントを古川くんと一緒に録ることで、自分自身でもすごくグッときて、思い返すと大変だったけど楽しい掛け合いでした。そういった意味でもぜひ聴いていただきたいなと。原作片手にとか、ドラマCDだけでとか色んな形で楽しんでいただける1枚になったと思います。
古川さん:江口さんに大変お世話になったなと感じる所存でございます。台詞のキャッチボールでこちらが投げた球をしっかり受け取って、そこから確実に気持ちが伝わる球を投げ返すというお芝居をいつもしてくださっていて、今回もそれをすごく感じることができました。スタッフチームも原作の雰囲気や表情を僕らが立体的に表現できるよう、細部までこだわってディレクションしてくださったので、原作を読みながらCDを聴いていただくのが一番いいと思います!
江口さん:(笑)
古川さん:もちろん僕らもめちゃくちゃ頑張っていますが、やっぱり絵から伝わってくるコミカルさとか、ちょっとしたカタルシスであるとか、衝撃的ななっつんコスの辰見とか……。
江口さん:見て欲しい(笑)
古川さん:そうなんですよ。あれは絶対声では表現できないです(笑)。1から応援してくださっている方も、2からの方も、ぜひ原作と一緒に聴いて、見て、じっくりと楽しんでいただけたら嬉しいです。
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  • 「ドラッグレス・セックス 辰見と戌井2」ジャケット
    • ドラッグレス・セックス 辰見と戌井Ⅱ
    • 2023.05.19 release
    • CRWS-0081 / ¥5,000(税込¥5,500)
      • エンゾウ
      • 古川 慎 江口拓也 武内 健 高橋広樹